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2010年8月16日 (月)

戦争ドラマなんやかんや

夏になると、戦争ドラマが放送されます。各局やってます。

倉本聰脚本の『歸國(きこく)』(TBS)を観ました。
現代の東京駅に、深夜、兵士達が降り立ちます。
ファンタジーですね。
彼らの目に映る現代日本がどう見えるかというお話です。

兵士達は英霊、ってことになってます。
英霊の意味はわたしにはよく理解できないのですが、
靖国に葬られている、お国のために死んだと公的に認められた兵士たち、
ってことのようです。

このドラマによると、現代社会は嘆かわしいみたいです。
かといって、「自分達の時代は良かった」と元兵士に言わせてしまうと、
戦争肯定になっちゃうし、そこは微妙なところですね。

で、ファンタジー部分を味わいつつ観ていたのですが、
どうにもこうにも「それはないだろう」という部分がありました。

 
ビートたけし演ずる英霊が、ダンサーだった妹(今は老婆)に会います。
老いた妹は入院中で、意識のない状態で、呼吸器をつけられています。

高度先進医療で生かされていることが、ここでは「マイナス」として描かれており、
意識があるとき友だちだった入院患者(ちいさい子)が、呼吸器をはずしに来て、妹は死に、
英霊・ビートは、はずした子に「ありがとね」とつぶやきます。

ここは、こう描いてしまって良いものか、疑問に思いました。
全国の、呼吸器をつけた方たちと家族を思い、胸が痛かったです。
描き方が一面的で、やや乱暴じゃないかと思いました。

でもまあ、ひとつの考え方なので、そこは流して、続きを観ました。
問題は、このあとです。

この妹には息子がいます。
妹は戦後、女手一つで息子を育てるために、あらゆる商売をしながら
苦労を重ねたという設定です。
その息子は出世しましたが、老いた母親を病院に任せきりで、親不孝をしています。

なんとその息子を英霊ビートは殺してしまいます。

だめじゃん!

甥殺しですよ。
軍人さんが死してなお、命の大切さよりも「義」ですか?
わたしはテレビに向かって叫びましたよ。

なんてこったい!

そんなことをして、死んだ妹がうれしいはずがありません。
人生かけて育てあげた息子を、戦死した兄が殺しにくるなんて。
母としての苦労が水の泡。

ビートのばかやろう。

いやしかし、驚くべきことに、
あの世から妹は「ありがとう、おにいちゃん」と言います。

え?

「ばかやろう、おにいちゃん」じゃないの? ありがとうなの?

ここ、母親の心情として、おかしくないですか?

わたしはたとえ娘が親不孝をしても、娘自身には元気に生きててほしいです。
親孝行で不幸せな娘より、親不孝でもいい、幸福な娘を望みます。

なんかへんだよ、このドラマ。

一方、心に残るドラマもありました。
NHKの『15歳の志願兵』です。脚本は大森寿美男さん。

志願して戦地に行った若者と、見送る仲間や教師たち、その親の心が
繊細に丁寧に描かれています。

軍国主義の母親が、戦後、戦死した息子を思い、
「わたしに学問があったなら、あの子を死なせなかったでしょうか」
と嘆きます。
その母親に、友人の少年はこう言います。

「いいえ。学問がなかったのは、この国です。
ぼくたちは学校に死ねと教わったんです」

すごいなぁ、
これって新しい視点だし、胸にずんときました。

わたしの父も、少年志願兵でした。
父は、戦争の話はほとんどしません。
わたしは幼いとき、「おとうさんは人を殺したのだろうか」と
それがとっても気になって、悩んでいました。

あるとき、勇気を出して聞いてみました。
「戦地に行って、戦ったの?」
すると父は言いました。
「訓練を受けている間に、戦争が終わったんだよ。海軍の航空隊だから、行ってたら生きてはいない」
それを聞いて、幼いわたしは、ほっとしたんです。
戦争の知識がほとんどない小学校低学年でしたが、
「加害者としての日本」という視点が、幼いなりにあったんだと思います。

「飛行機の整備をしていて」そのあと父は珍しく話を続けました。
「プロペラを手でまわして、勢いをつけるんだ。
そのプロペラに巻き込まれて、目の前で友だちが死んだ。同い歳だった」

父の話はぷつりとそこで終わって、わたしもそれ以上何も聞きませんでした。

戦争文学では、『マヤの一生』が、強烈な印象を持って心に残っています。
椋鳩十が書いた動物児童文学。
子どもの飼い犬への目線を通じて、当時の空気をリアルに描いています。
べたついた心理描写や説教臭さは皆無で、端的な文章です。
それでいて、心に突き刺さる。これはすごいです。

話はドラマ『歸國(きこく)』に戻りますが、台詞が多かった。
こちらが想像して感じ取るスキもないくらい、語られてしまい、
どうにも居心地が悪かったです。
 
 
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ドラマdeぶんぶん」カテゴリの記事

コメント

基本的に戦争に関するドラマも映画も好きでなく〜どちらかというと嫌悪感を感じるので見ません!綺麗事を並べても,人殺しだからね〜国を守る.親兄弟を守る?だから人を殺しても良いという理屈には,絶対に成らないと思う?戦争が日本から折角無くなったのに?人殺しは毎日のように,テレビニュ-スで?親が子供を殺したり子供が親を殺したり?皆幸せすぎるのかな?人間は欲の固まり〜絶対に妥協をしない〜どんどんどんどん上を求めてつまずくだから〜言ったじゃ無いのというようにつまずく〜戦争も基本的には幸せを求めすぎた結果だと思うが?

JUNKOさん、はじめてコメントします。
いつも楽しみに読ませていただいてます。

michiさんのコメントを拝見して、少しお尋ねしたくなりましたので、失礼します。


「・・・人を殺しても良いという理屈には絶対に成らないと思う」
健全な人ならたいてい命の尊厳は痛切に感じているはずです。

それでは、たとえば、あなたの家の玄関に、家族を襲撃しに異常者がやってきたら
どう対処されますか?

まさに、我が子に手が下されようとしたその時にも、

闘うのはイヤですか。
手を汚すのはポリシーに反しますか。

michiさん
「見ない」というのも、真摯ですよね。
実際に戦争を経験した人で、「戦争ものは見ない」と言う人も結構いらっしゃいます。
昔の名作映画(洋画)は戦争をモチーフにしたものが多く、反戦ものもあるし、戦意高揚系もあります。
わたしは仕事でもあるのでなるべく見ますが、日本のものは歴史の解釈やらいろいろあって、
すべての人に納得いくつくりは、難しいなぁと思います。


アイスブルーさん
コメントありがとうございます。
難しい質問ですけど、率直に、思ったまま、答えてしまいますが
わが子に手をかける人がいたら、わたしはぶんなぐります。

でも、戦争はわたしの中で、それとはベツモノなんです。
核どころか銃もミサイルもすべてなくして武力放棄しちゃえばいいと思っています。
まるごし日本を責める国はない(あっちゃいけない)と信じて、そうする。
どこかの国が始めの一歩にそうしないと、いつまでも戦争はなくならないと思うんです。

アイスブル-さんにコメントは無い〜?戦争と異常者の殺人と同じ尺度???意味分かりません?

お返事ありがとうございます。

michiさん、まずは私の見込み違いのお詫びを。

問いを投げ掛けるには、あなたは幼すぎる年齢のかたかもしれません。
申し訳なかったです。

あえてひとつ、あなたに提言させていただくなら、かつての日本人が闘って守ろうとしたのは、私がたとえで表したこととそう大差はない、ということです。
戦争のことを知らないでいることを選択されたのなら、止めはしません。
ただ、自分はまだ物事を知らないのだ、という自覚だけはお持ちであられたほうが、これから先、いろいろなことを吸収できると思い、あなたの成長を願っております。

すみません、わたしへのコメントではないのに、横入りしてしまいますが、
ひとこと言わせてください。

コメント欄はなるべく開放的にし、読者同士で意見を交換する場でもあってほしいと思い、
今のところ制約をもうけておりません。
できたらこのまま制約をもうけず、良識を信じて、
こちらで勝手に削除するようなことはしないようにできたら、と思っています。

戦争に関する解釈は人それぞれにあると思うんです。
アイスブルーさんの提言もひとつの解釈だと思い、尊重しますが
それがすべての人の考えであるとか、真理だとわたしは思いません。
わたしが勉強不足なのかもしれませんが、「戦争の全体像を知っている人」は
おそらくいないんじゃないかと思い、戦争解釈には謙虚さも必要だと思います。
自分の考えと違う人を一方的に「幼い」と侮辱するような発言はどうか控えてください。

コメントする方が気持ちよく参加できる場であってほしいし
誰も不愉快になってほしくありません。

今後、みなさまが不愉快になるような表現がありましたら、
こちらで判断し、削除させていただくかもしれません。お許し下さい。
「誰かを傷つけちゃうかも。でも言いたい」という場合は、わたしへのメールでお願いします。

いろいろ勝手を言いますが、これからもぶんぶんブログをよろしくお願いします。

初めまして。ランキングから来ました。私もドラマが好きでシナリオライターも
なりたいと思ったことがあります。(あっさり挫折しましたが)

『歸國(きこく)』は見逃してしまいましたが、私もJUNKOさんの意見に同感です。
子供をを殺されてうれしい親なんていないと思います。
いくら親不孝でも、子供の頃に受け取ったものはい大きいし、たとえ会えなくても、元気に生きていてくれるだけでいいでしょう。

それから、「15才の志願兵」は見ました。
1時間ちょっとでしたけど、とてもいいドラマでしたね。

「学問がなかったのは、この国です。」
私もこの言葉はズキンときました。
上が学問がないばかりに、命を落とした人がたくさんいたかと思うと、辛く悲しいです。

今週の「ゲゲゲの女房」も戦争がテーマでしたが、やっぱり上司の命令ひとつで
たくさんの方が命を落とされていて、やりきれません。

また戦闘とかではなく、戦場での日常で亡くなった方も多いと語られていましたね。
お父様の友だちもプロペラに巻き込まれて亡くなったなんて、お辛いでしょう。

私たちはこんなくだらない戦争なんて二度としてはいけません。
そして今はまだ、簡単にはとられない命を大切に生きていかなければと思います。

みなこさん
初めまして。コメントありがとうございます。

ご覧になったんですね? 「15才の志願兵」繊細なドラマでしたね。
当時の空気はこうだったかな…と。こんなふうに、戦争に行かされてしまったんだな…と
登場人物に心が寄り添えるお話でした。

「ゲゲゲ…」は、長い貧乏時代は観ていたのですが、
売れて来る手前くらいで(ちょうどいいところなのに)、つい見逃してしまって、
今は観ていないんです。
今、戦争のことをやってるんですね。

戦争って、戦地によっても、参加する立場によっても
全然違う顔をしているのでしょうね。

自然災害や病気という戦うべき敵はたくさんあるのに
なぜ人間同士で殺し合うのか。愚かな事だと思います。

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