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2010年11月11日 (木)

「うん」と書ける『流れ星』

ゲツクがいい。

月9。フジテレビ月曜夜9時からの連続ドラマの通称だ。

若者向き恋愛ものが定番の枠で、過去ここから多くの名作が生まれた。
『ガリレオ』のように毛色の違った良作もあるし、初回は必ず見るようにしている。

ところがこのところ、初回で「やめ…」が続いてた。
わたしがトシくってしまい、青春恋愛ものに感情移入できなくなったのか
ドラマの質が落ちたのか、そのあたりは…不明。

うすっぺらい正義感が鼻についたり、役者の人気におぶさってる企画ものだったり
もうゲツクとはさよならかなぁ…と思っていたら、

今回の『流れ星』ったら、かなり、いい。

 
脚本はフジテレビのコンクール「ヤングシナリオ大賞」の過去の佳作受賞作ということだ。
受賞作のタイトルは『クラゲ・マリッジ』。原題のほうが良くない?

シナリオ界ではこのコンクール「ヤンシナ」と呼ばれ、
新人脚本家登竜門として有名だ。

しかし、応募要項に年齢制限があるんだ。
なんと「自称35歳以下」という規定がある。
若い人が有利なのはもちろん、
「年寄りは35歳以下の精神(態度)で応募してね」ということだ。
だからトシを誤摩化して応募するのがジョーシキ。
主催者側がうそ奨励してるんだもの。
うそつかないと、「頭が高い」と言われそう。

この規定、主催者の弁では「シャレです」なのだけど、
応募する側としてはかなりコタえる。

かつてシナリオコンクールに挑戦していた頃、
わたしは年齢制限が気になって、このコンクールは避けていた。
だが一度だけ、挑戦したことがある。

実年齢で応募した。態度悪いけど、うそつけない。

わたしは35歳以下を自称できない。シャレでもヤダ。
わたしがそれをやると、わたしでなくなる。
書き手としてダメになっちゃうと思う。
あくまでも、わたしの場合は、です。

二作品応募して、一作が一次通過、一作は二次を通過した。
そして最終選考の手前で落選。以降、挑戦していない。

わたしが受賞した城戸賞やイルミナシオングランプリ。
これは初応募で受賞した。ラジオのコンクールも全部そう。

シナリオコンクールは何度も挑戦するのが常識らしいけど、
わたしは一度だめだと相性が悪い気がして、早々にあきらめてしまう。
複数回挑戦した賞もあるけど、最終選考までが精一杯だった。
コンクールはお見合いみたいなもので、優劣だけじゃなく、相性がある。
相性は優劣を越えるとすら思う。

話はゲツクに戻る。
『流れ星』は人物設定も脚本も社会的視点もしっかりとしていて
おとなにも見応えがある。
新人の脚本家のほか、ベテランの脚本家が監修に付いており、
丁寧にじっくりと作られたと思われる。

臓器移植がモチーフになっている。テーマではないと思う。
テーマはやはり「愛」だと思う。
竹野内豊は、妹の臓器に適合する女性(上戸彩)と契約結婚する。
それぞれの家族、人間関係、心模様が深く丁寧に描かれている。
兄妹も、その関係に秘密がありそうだ。
想像つくんだけど、想像通りでもいい。そのままじっくり見てゆきたい。
うすっぺらの反対。肉厚ドラマだ。
ほめすぎだけど、役者もみんないい。

特にいいのは医者役の松田翔太。

入院患者の若い男女がこっそり病室を抜け出して落語の寄席に行く。
男の子の容態が急変し、救急車で運ばれる。
救急車の中で、女の子(北乃きい)は医者の松田に謝る。

「ごめんなさい。わたしが悪かったんです」

すると松田はきいちゃんを見て、「うん」と言う。

ただ「うん」と言うんだ。ここがいい。

ふつーはつい
「気にするな」「君のせいじゃない」「だいじょうぶ」とか書き込んじゃう。

それを役者の才能を信じて「うん」と書く。
役者もそれに応えてすばらしい演技で「うん」と言う。

いい台本は、いいドラマの基本ですね〜。
ただただ感心。勉強になります。

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