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2011年1月 6日 (木)

まいりました『蛇のひと』

 
『蛇のひと』を見た。

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これはwowowシナリオ大賞受賞作。
つまり、シナリオコンクールの受賞作が映画化されたものです。
なんともうらやましいお話です。

シナリオコンクールは随分前に卒業してしまい、最近の情報は知らないのですが、
この作品が受賞し、雑誌に掲載された時に、友人がコピーしてくれて、読む機会に恵まれました。

 
コンクール受賞作がすべて「みごとだ、すぐれている」と思えるわけではありません。
わたしの受賞作も、いろいろと言われています。
小説もシナリオも偏差値で測れるものではないので、
審査員の好み、そして、読む方の好みで、いかようにも感じられるものなんです。

でも、この作品は読んだとき、文句無く「すごい」と思いました。
好みを越えた「凄み」があったのです。
人間観察が深いし、シナリオの構成も見事です。
わたしが絶対触れたくない人間の「悪意」にも一歩踏み込んでいて、
その踏み込み方に、気迫がありました。

それが映像化し、DVDになったので、見てみました。

凄みのある、それでいて最後にふっと救いのある、すばらしい作品になっていました。
シナリオに求心力があるのでしょう、シナリオを貫く一本の糸を丁寧に汲み取って
そこここに暗示する、すばらしい映像になっています。

監督は森淳一さん。
『重力ピエロ』とか『Laundry』の監督さんですね。
『Laundry』はDVD持ってます。センス抜群の監督さんです。

うれしい!
良いものが世に出るのは、見ていて気持ちの良いものです。

自分の感性を信じて大丈夫ってことだし、
信じた方向でがんばって間違いない!って思えますから。

近年話題になった小説『告白』も映画にもなりましたが、
こちらも人間の悪意に踏み込んでいます。
『告白』は救いがないように思えましたが(それがいけないのではありません)、
『蛇のひと』は救いというか希望が見える終わり方です。
シナリオではぼかしているけど、映像ははっきりとそうなっていました。

わたしは創作を始めてずっと「悪意」から目を背けてきました。
悪意って、ムキダシで、子どもっぽいような気がして、興味が持てなかったんです。
人間の中に潜むどろどろしたものを浄化して、
善意をつかむことこそが人としての成長であり、美しさだと
そんなふうに思っているんです。
大人になるって、究極、善でいられるってことであり、
善であるには知性が必要で、馬鹿が戦争を起こすのです(ちと乱暴な私見です)。
善意はつかむもの。そこに感動やドラマがあるとわたしは思っているんです。

でも『告白』や『蛇のひと』のように、腹をくくって悪意に取り組んだ作品を見ると、
逃げてない。と感じます。
自分は逃げてるだけかも、と思ったりします。

このまま逃げ切るかなぁ、どうすんだろ、わたし?


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シネマdeぶんぶん」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。元jigiです。
人間の悪意。私も最近悪意を身近に体験しました。貴重な体験でした。でも怖くなって逃げちゃった。もっと知りたかった。けど私の理解の範囲を超えていました。ダメですね。こんなんじゃ。人間修業がまだまだなっていません。こんなんじゃ創作なんて私には無理かも、って思いました。

直子さん、こんにちは!
おお、悪意の体験ですか。それは怖いですね。
ネタにして、一作書いてしまうというのはどうですか?
でも逃げちゃいましたか。わたしも逃げるタイプです。
悪意を相手にすると、疲れちゃいますからね。
自分の中の悪意も引き出されてしまいそうで、めんどくさい。
戦わずして去る。という方法を今のところとっています。

その、コピーした友人です(*^-^)。
これは抜群にいい!と思って、
興味をもってくれそうな友人数人に配ってしまいましたが、
JUNKOさんのようによく覚えてらっしゃる方だと、
読まないで初めて映像を見た方が良かったかも・・・。

かく言うわたしも今夜やっと見ました。
ストーリー展開をほとんど忘れていて、
新鮮に楽しんでしまいました、ああ無責任(^-^;。
っていうか自分の記憶力のなさに、軽くショック(p_q*)。

シナリオ、ラストなど少し読み直しました。
ラスト、本当だ!シナリオの方があいまいで不気味。
映像は救いがあります。小道具の遣い方も整理されてて分かり易いです。
JUNKOさんのおっしゃるとおり、監督さん、センスいいです。
『Laundry』未見なので、ぜひ見たいです。

逆に今西さんの人たらしぶりは、シナリオの方が伝わった記憶があります。

JUNKOさん、悪意から逃げてるかなあ?
『通夜女』を読んだとき、そうは感じませんでしたけど・・・
『蛇のひと』も、人間の二面性というか、多面性、得体の知れなさが
巧みに描かれてて、好きです。

こころんさん
おかげさまで、すばらしいシナリオに出会えました。
そうなんですよ、小道具が整理されているんです。
今西が幼い頃に悪意を浄化する「道具」を失って、あの時からキレて、
最後、「道具」を取り戻して、これからは世の中がきれいに見えるかも…
その脚色がすごく活きていましたよね。
それもこれもシナリオがすばらしいから、「ああしよう、こうしよう」と
直しにもパワーが出たのじゃないかと思います。

そうそう、シナリオのほうが人たらしは不気味でしたよね。
もっと中年のおじさんっぽくて、西島さんじゃスマートすぎる(でも好き)。
石橋凌とか、うーん、誰がいいかな?
一見いいひとに見えて、どろどろ…って感じが、シナリオでは迫力でしたね。
意外な路線で草彅くんもいいかも。

『通夜女』も二面性、弱さに踏み込んでますが、『蛇のひと』の気迫には負けてます。
ついおちゃらけてコメディに走ってしまう癖があるんです。

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