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2011年1月 4日 (火)

線路はあまりにまっすぐな…映画

『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』を見た。

Photo_2

49歳で夢を叶えた男の話。

ってことで、

中年でまだ夢を追っている自分に映し合わせて観てみました。

 
ケレン味の無い、定規を使ったかのようなまっすぐな映画で、映像が綺麗です。
島根で映画を作り続けている監督の地元愛を感じます。
鉄道ファンにはたまらない映像でしょう。
人間ドラマも、善的です。

ただ、わたしてきには物足りない。
だってこれ、デキスギなんですもの。

主人公の中井貴一、有名企業のエリートです。
リストラ勧告をする立場です。
そこで、自分をリストラします。かっちょいー。
専務は「やめないでくれ」と貴一にすがります。かっちょいー。

やめるきっかけは、田舎に残した母の容態です。
母のもとで暮らせるよう、会社をやめるんです。かっちょいー。
そして少年の頃の夢だった電車の運転士になることを思いつきます。かっちょいー。

ここから49歳で夢に向かう男の話となります。
もちろんここで、わたしは期待します。
男の苦難の道をです。

ところがです。
家族は誰も反対しません。「やってみたら」と応援します。
で、鉄道会社の募集に応募。なんと一発で採用決定です。
そして研修が始まります。新人研修もなんなくこなし、資格試験に合格します。

あっ!という間に夢叶い、あっ!という間に運転士になります。
決断したら、叶う。って……。

運転士となってからは、乗客には優しく、若手を励まし、ええもう、菩薩です。

かっちょいー
かっちょいー
デキスギです。

49歳で夢を追うことが、こんなに簡単なことだなんて。
老眼でトラブルを起こすとか、指差し確認でギックリ腰とか、なーんもないぜ。
彼のスイッチは「決断」だけ。
エリートコースを放り出したら、あとはすんなり、叶ってしまうんです。

しかもせっかくなれたのに、さっさと退職願を書きます。
若者のミスをかぶるんです。ケッ!
わたしならしがみつきます。だって夢だもの。
それを「叶ったからいいや」って、なんじゃそれ。
そして都合のよいことに、「やめないでくれ」と周囲に止められます。
客も鉄道員もみんなして「やめないで」 

また、です。

大企業からも鉄道会社からも求められる人材で、家族からも愛されている。
へいへい、ご立派です。

苦労しているわたしのひがみ根性でしょうか。
こんなに簡単に叶う夢なんて、感動がありません。
こんなにあっさり捨てられるなんて、夢ですらありません。

勝手に腹を立てているわたしに向かって、夫は言います。
「この映画はヒーローを描こうとしてるんだ。だからこれでいいんじゃない?
 彼はおじさんたちの夢なんだよ」

お・だ・ま・り。

ヒーローを描きたい。それ、わたしの夢です。
でもヒーローは特権階級ではありません。
特権階級であっちゃならないんです。
砂を噛む思いで善に向かう、そういうのがヒーローなんです。わたしてきには、ですが。
浅田真央ちゃんだって、血のにじむ思いで、夢に向かっています。
簡単ではないんです。ヒーローであることは。

綺麗ごとを見せられて、鼻白む思いです。

でもこの映画をそんなふうに見るのはわたしくらいで、
まっすぐな良い映画であることは間違いありません。
カメラワークに凄みもあります。
そこはほんと、映画的なんです。

ただ脚本があまりに……主人公に都合が良すぎる。

貴一サン中心に世界が回ってる風に見えましたが、
苦労し過ぎてねじまがっちゃったおばさんのたわごとかもしれません。


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コメント

この映画実話じゃなかったですか?あまり興味の無い映画なのできっと見ないと思うが〜夢はいいと思うが,夢では暖かいご飯は食べられません!そんな感じで,夢が実現すれば不幸な人は世の中にいませんが?そんな感じの映画に興味ないなぁ〜現実味が全くないし転びながら這いずり回りながら生きているのが現実だから!映画ですよ!でも実話じゃなかったかな?夢ってかなうのかな?努力だけでは絶対に無理だと思うのだが?でも実話だったはず?

michiさん
実話なんですか?
そのあたりはよく知らないのですが、実話なら都合良すぎる展開も、事実ですからしかたないですね。
わたしは電車の運転って、うまくなるのに時間が掛かる、技術のいるものだと思っていたので、
この映画では簡単そうに見え、拍子抜けでした。
若い運転士役の役者さんが、セリフは少ないのにちょっと気になる、個性を感じる人だったので
調べてみたら友和・百恵夫妻の息子さんでした。

JUNKOさん、今年もよろしくお願いします!またちょくちょくお邪魔します!

れいるうぇいずは未見ですが、驚きです!家族も反対しないし簡単に夢が実現するなんて!
ひねくれ者なので、主人公が困れば困るほどわくわくします。
(そんなわたしでも、ラストは後味がいいものを期待してますが) 

映画の紹介文や見た人の感想など見ると、
運転手になる理由がいくつかあって前半もやもやしているようですが、
家族の絆をとりもどすために、役員の身分を捨てて地元に戻って運転手になるというのが
本筋の話なんですね。
わたし的には、おじさんが好き勝手に、自分の夢をかなえる話の方が好みなんですが。

実話では最近、千葉のいずみ鉄道が募集した運転手の条件が、
訓練費700万円自己負担で、運転手になっても週2~3日の非常勤、
というのがありましたね。
これなんか、乗り鉄のお父さんが勝手に応募したら、
家族は怒っておもしろいドラマになりそうだなあ、と思いました。

こころんさま
今年もよろしくです!! じゃんじゃん遊びに来てくださいね。
わたしもこころんさんと同じく、主人公に困って欲しいです。
自分よりずっと苦労してほしい。じゃないと感情移入できません。

>わたし的には、おじさんが好き勝手に、自分の夢をかなえる話の方が好みなんですが。

そうそう、わたしも全くそうです。
この映画も、家族のためとか言ってるけど、それは大義名分で、結局は好きになっちゃうんだけど、
大義名分つけるから、やや、説教臭く感じます。言い訳っぽいというか。
あくまでもスマートで美しいヒーローなんですよ。無臭です。

そのいずみ鉄道の募集、むちゃくちゃですね。
ななひゃくまんだとぉ〜〜〜
「運転させてあげるから、金を出せ」ってことで、
遊園地の乗り物代としても、高すぎる。

「乗り鉄」ってことば、今、知りました。
この映画では「鉄男」とか「鉄子」とか言ってました。
映像は凝ってましたよ。景色も電車も綺麗でした。

この映画のモデルになっている一畑電鉄の沿線に実際住んでいたことがあります。私の夫も島根出身で、義母が病気になった時5年ほど住んでいたのです。夫は会社を辞めて島根にUターンするつもりでした。でも再就職先などありませんでしたし、あったとしても東京の年収の半分以下を覚悟しなければなりませんでした。たまたま上司に相談したら松江に出張所を作ってもらえまして、転勤できることができました。私は3年ほどで東京に帰ってこれるなら、と思って合意したのですが、松江5年、岡山9年、計14年を経てやっと帰ってこれました。で、一畑電鉄ですが、この電車の運転手になるのが夢って、ありえないです。地元の人も愛着もってないですもん。沿線に住んでいたけど、利用したのは年に1度あるかないか。皆さん1人1台自家用車ですもの。まったく現実とかけ離れた映画だと思います。

直子様
おお、きれいなところに住んでいたのですね。
この映画の主人公とだんなさま、シチュエーションが似ています。
それにしても、出張所を作ってもらえるなんて、すごいことです。優秀な人材なんですね。
この映画は地元愛と鉄道愛にあふれた、「ご当地もの」なのかもしれません。
ただ、そんなに人気のない路線なら、「簡単に運転士になれてしまう」のも納得です。
そうか、車社会なんですね。そうですよね、考えてみれば。
なんなく夢かなっちゃったのが、どうにも納得いかなかったのですが
ひなびてて、人材不足で、というのなら、なるほど納得です。

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