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2011年2月22日 (火)

あなたは生きている!

 
確定申告をしてきました。

わたしの場合、申告すると、たいてい、お金が返ってきます。
「こんなに低い収入から税金はとれないよ」と言うわけです。
お心づかい、いたみいります。

毎年めんどくさいけどきっちりやります。
お金が返ってくるからというのもありますが、
1年を振り返り「働いた」という実感が得られるし、
「働いてない」という実感も得られます。

基本的に収入が低いので、返ってくるお金も少ないのですが、
映画のプロット(ストーリーみたいなの)1本分くらい返ってくるし、
貴重なお金です。でもまあ、そもそも、1本分単価が安いので
少ないことに変わりは有りません。

今回の少なさは記録的です。
「最低」です。
去年1年間、土の中にもぐるような思いで書いて書いて書きまくった結果です。
自己創作没頭期、地上の光は見えません。

年収最低記録更新です。

「更新」に負の要素を感じることは普通ありませんが
この場合、はっきり「負」です。

確定申告、やるだけムダじゃないか?

そう思いました。

書類にあれこれ書き込み、戻って来るお金がこれだけって
インクがもったいないし、時間ももったいない。
いっそなんにもしないほうが、税務署にとってもわたしにとっても
幸せなのではないか。

でもやりました。
なぜか。
様式美です。
フリーで働いてるんだから確定申告をする。その様式美にこだわりました。

こだわる女は『マルタイの女』を見ました。

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伊丹十三監督の遺作です。

マルタイというのは、警察用語で、警護の対象となる人物を言います。
この映画の主人公である女優のビワコは、殺人事件の目撃者であり貴重な証言者であるため、
犯人グループから守るため、刑事2人が1日中付き添います。

刑事は「マルタイのB」と呼びます。
ビワコのBだそうです。
するとわたしだったらマルタイのJ。

カルト的な宗教集団との戦い、報道陣との戦い、
そんな中、刑事とビワコの心はついたり離れたりと揺れます。

面白い!
でも、
怖い!

実在の集団を示唆する表現もあります。
この作品を世に出す勇気って、どれほどのものでしょう?
伊丹さんはその後亡くなります。
悔やまれますが、これほどのものを創ったら、魂が抜かれてしまうのではと思います。
ガッツ、出し過ぎたのかなぁ。

クライマックス、刑事の一人がこんなセリフを吐きます。

「自分は世の中のおかげでやりたいことができている。だからやるべきことはやるんです。
 当たり前でしょう」

そのあとビワコは叫びます。

「あたしは生きている! あんたも生きている! うれしいわ。ありがとう!」

わたしは刑事のセリフが伊丹さんの言葉に聞こえ、
奥さんである宮本信子のこのセリフに、ぞっとしました。

伊丹さんは生きたかった。
妻のためにも生きたかった。
でも「生きたい」と言わねばならぬほどの、危機感をもっていた。

そんなふうに感じました。

私見です。

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シネマdeぶんぶん」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。伊丹作品、「タンポポ」と「お葬式」しか観ていないのですが、
ご紹介文を読んでいるとぜひぜひ全作制覇したくなってきます^^)

伊丹さんが亡くなった時、本当に信じられませんでした。
今もその原因は謎だなーー、と思っています。
亡くなる割とちょっと前、その頃出来始めていたシネマ・コンプレックスを
伊丹さんが紹介する、っていうテレビ番組を観たんです。
すごくうれしそうに紹介してて、映画への愛、映画を観る環境や
観に来るお客さんへの思いもとても熱く伝わって来たものでした。
だから、そんな人が自分の未来を断ち切ったりするかしら??
・・って、すごく納得できなかったんですね。
今はもう、どうこう言っても仕方ありませんが・・。

伊丹さんは、エッセイも何冊かありますよね。
読んだのはだいぶ前なので内容はよく覚えていないのですが、
常識にとらわれない、自由な考えを持つ頭の切れる人なんだなぁ、と
思った記憶があります。

とりあえず、年代順に作品観てみようかなぁ。
ではでは^^)

mikanさま
伊丹さんの自殺、謎ですよね。
でも、作品を見ていると、これだけの才能、繊細さ、ぶっとびかげん、勇気、
けして並ではないから、ひょっとして、弱い一面があったんじゃないか、などと
考えたりもするんです。弱いというより「いつ死んでもいいくらいがんばってる」ということで、
「マルタイの女」を見ると、遺書のようにも思えます。

わたしは「マルサの女2」以外はすべて見てしまいました。
特に好きなのは、「マルタイの女」「静かな生活」「スーパーの女」です。
この3つはジャンルが違ってて、1番娯楽的作品は「スーパー」です。
お楽しみに少しずつ見た方が、いいと思います。
わたしはもうすでに寂しくなっています。

三谷幸喜さん、周防監督、矢口監督、みな伊丹さんの影響を受けたのではないかと
勝手に想像しています。

エッセイは一冊も読んでいません。そうだ!その楽しみが残ってました。

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