« 満腹脳のあほー | トップページ | ところにより害獣 »

2011年2月 8日 (火)

つるの恩 シドニー・ポワチエ

  
夫が仕事部屋にこもる日々が続いています。
夕食とトイレだけ部屋から出て来ますが、
お風呂はしばらく入ってない様子だし、たまに見かけると顔がむくんでいます。

過労死寸前に見えます。「少しは休んだら」と声をかけますが、
夫は「はくりたばい」とぶつくさ言いながら、仕事部屋へ吸い込まれてゆきます。
技術の薄利多売というわけです。
フリーランスなので、過労死しても誰も保障してくれません。
でもここまで働かないと、食べてゆけないのも事実。

『夕鶴』を思い出しました。『つるの恩返し』とも言いますね。

わたしに恩を返すために、部屋にこもって機を織る夫。泣ける〜
覗いちゃいけません!
そのうち金がどっさどさ?

ある日夫はとうとう部屋から出てきました。
外出着を着ています。
織った布を売りにゆくのでしょうか?

夫は言います。
「かぶせばがとれた」

 
ここは納得がいかないのですが、夫は歯の詰め物を「かぶせ歯」と呼びます。
明治のひとみたいな言語感覚です。
銀歯かセラミックか知りませんが、ハズレたらしく、そいつをかぶせてもらうべく、
歯医者を目指して出かけました。

ほんの10分ほどで、もどってきました。
そのものをそのままかぶせただけで済んだそうです。
お財布は若干軽くなりました。
お金がどっさどさではありません。
するすると出てゆくばかりです。
恩はまだ返してもらっていません。
あ。
そもそもわたし、恩など売っていませんでした。
家事もいいかげんだし、ひとりごとばっか言って、ろくな妻ではありません。

夫は外の空気に触れて、気分が変わったのか、仕事がひといきついたのか、
久しぶりに映画を観る気になったようです。
もちろん自宅でDVDです。

夫が見たい映画をわたしもつきあってあげました。
昔の刑事物です。ケッ
つまらなそーな予感ですが、文句は封印。
10分くらいつきあって、あとは本でも読むつもりでしたが、
とんでもないヒロイモノで、食い入るように見ました。

1967年アメリカ映画『夜の大走査線』面白い!!

4988142066725_1l

南部で起こった殺人事件。たまたま通りかかった北部の敏腕刑事(黒人)が
容疑者としてつかまります。容疑は晴れるのですが、残って協力することに。
南部の警察署長(白人)と対立しながら事件を解決してゆく。という話で、
黒人差別が濃厚に残っている時代の人間ドラマが緻密な演出で描かれています。
セリフで説明するのではなく、表情やしぐさで人の心の機微を描いています。

差別がある時代だと気付くまでは、「なんなのこの署長」と思いますが、
気付いてからは、白人である署長のとまどいもよくわかるんです。

ある白人が黒人刑事に向かって「おまえどうして白人の服着てるんだ」と言います。
嫌味でもなんでもなく、不思議がっています。
黒人がスーツを着ている。それだけで浮く時代のようです。
国は違えど、これは時代劇です。

シドニー・ポワチエが主役です。
黒人初の主役級ハリウッドスターです。ハジメテミタ!
抑えた演技で、魅力的です。カッコイイ!
ちょっと「黒田康作」っぽい役柄です。
有能なんだけど、周囲のボンクラに理解されず、その中でひとりがんばる。…とこなんか。

有能な人はよき理解者を得ないと活躍できません。有能のモチグサレです。

同時期に出演した『招かれざる客』も観て見ようと思います。
しばらくポワチエにはまりそう。
 
 
ポワチエを知るキッカケをくれたので、夫から恩は返されました。
恩を売ってないので、新規に売られたと考えるべきかもしれません。

こんどはわたしが恩を返す番です。
どうしましょう。機は織れません。
うーん。
とりあえず、今夜は有能な飯炊き女になろう。


応援クリックよろしくお願いします人気ブログランキングへ


レンタル情報はこちらで TSUTAYA online

« 満腹脳のあほー | トップページ | ところにより害獣 »

シネマdeぶんぶん」カテゴリの記事

コメント

今の時代〜一生懸命働いたからと言っても,それを認めてくれる社会ではない!
だからと言って働かなくても良いという訳には,いかない社会!
でもね〜なんでもそうだが,どこかで報われる事だけを信じて前向きに進む意外に答えは無い!
結果は意外と付いてくるが〜待ってもいけないのが欠点かな!
大丈夫!きっと誰かが気がつく日が来るはず〜?来ないかも〜?
でも努力は必要!努力なしでは生きている必要無いから!
さぁ〜今日も頑張ろう〜

自分も旦那さんの気持ちがわかるような気がします。

自宅で仕事をして、息抜きにDVD(と言っても録画してあるドラマですが)を観るところは似ています(笑)

シドニー・ポワチエ、いい役者さんですよね。
1960年代の映画って、完成度が高いものが多かった気がします。
自分は、昔、スティーブ・マックインの映画に夢中になりました。
今は、あまり存在感のある俳優って、数えるほどしかいないような・・・

応援クリックしていきます。

おお!絶対見たい!
シドニー・ポワチエ、一瞬デンゼル・ワシントンンかと思った。
二人とも、目に清潔感がありますよね!
(でも実はデンゼルも
『フィラデルフィア』くらいしか見てないのですが・・・)

シドニーはオスカー受賞作の『野のユリ』、良かったです。
流れ者の黒人青年と、修道女の交流の話です。

そうそう、四半世紀以上前の映画って、
時代背景などがピンとこなくて
作品の良さがよくわからないものってありますよね。
名作と言われるものでも。
自分の知らない時代でも、ちょっと描写してもらえると分かるんですけどね。
『自転車泥棒』『ペーパームーン』とかは、すごくよく分かります。

あとわたしは、構成がしっかりしていて洗練された名作でも、
登場人物たちの気持ちが心に響かないと、
良さが分かりません。
『第三の男』とか『市民ケーン』とか『カサブランカ』とか。
鑑賞力が足りないのか、趣味の問題なのか。
JUNKOさんはいかがですか?
わたしにもいつか良さが分かるようになるのかなあ。

michiさま
結果、ついてきますかね?
よくわからないのですが、やらないと確実に結果が出ないので、
やるしかないっすね。
最近、犬かきしながら生きてる気がします。
犬かきで太平洋横断!無理っぽい…


九曜の星 さま
自宅で仕事の場合、DVD鑑賞が一番、時間とお金がかからないナイスな息抜きですよね。
わたし、ポワチエさん今回初めて知ったんです。
まだご存命みたいで、なんかうれしいです。
スティーブ・マックイーンは、『大脱走』が好きです。
バイクで逃走するシーンすごかったー!
個性的な顔ですよね。存在感あります!


こころんさん
わたしは今回ポワチエさんを初めて知って、
デンゼルさんは「どっかで見た」くらいなんですよ。
どの映画で見たか、どうしても思い出せないんです。
出演作を見て「これがかの有名なデンゼルさん」と思った記憶だけあります。
どうして記憶に残らないのかなぁ。

>あとわたしは、構成がしっかりしていて洗練された名作でも、
登場人物たちの気持ちが心に響かないと、良さが分かりません。

わたしも同じですよ。
『カサブランカ』は仕事で紹介文を書いたことがあるのですが
「全く良くできた、のちにお手本になる完璧な作品」という印象で、
ラブストーリーとミステリーとおしゃれなセリフが揃っていて洗練されています。
でも印象に残るのは『自転車泥棒』の方で、あれはストーリーがあって無いような
なんとも思い切った映画ですが、せつなくて苦しくて、あの子役の表情は忘れられないし、
父親の行動や、状況や、心情が、あまりにも悲しくて、
2度と見る気がしない、好きな作品です。
そう、2度と観たくないくらい(苦しくて)好きです。

シドニーポワチエさん、なつかしいです。
子供のころに、映画だいすき、そしてポワチエ大好きな叔母から、
『夜の大走査線』と『野のユリ』がとても良いと聞かされ続け、
それに2作とも、TVで見たはずなのですが、おぼろげな記憶しかありません。
あたりまえだなあ。

DVD探してみます。

アンジーさま
そうですか!おばさまから教えられるなんて
やはり一時代を築いたスターだったんですね。
『野のユリ』が見つからなくて『招かれざる客』を先に見たのですが、
かっこよかったです。
たった1日の出来事で、特に大事件は無く、
要素は「白人女性の婚約者が黒人だった」だけなのですが、
ドラマチックでした。
次は『野のユリ』、なんとか探して観てみます。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/562780/50811437

この記事へのトラックバック一覧です: つるの恩 シドニー・ポワチエ:

« 満腹脳のあほー | トップページ | ところにより害獣 »