« 沈んだ太陽 | トップページ | 新釈 アリとキリギリス »

2011年2月13日 (日)

食わず嫌いを克服 西部劇

 
苦戦していた創作。なんとかラストまで書けて、
仕上げはこれからなんだけど、「了」が打てて、ほっとしました。

普段は迷いなくどんどん書いて、またたくまに「了」を打ち、
直しでゆっくりと試行錯誤するのですが、今回は始めから苦戦続き。
1日で1000字とか(子どもの作文程度)、恐るべき遅さで書いては、
翌日見直して削除し、1日終わる。というような、ナニヤッテンダな状況でした。
苦しかったです。

結果、良いものが書けたかどうかわかりませんが、一応ひと息入れたくて、
DVDを見繕っていたら、背後から夫がよろよろと現れ、

「見ていい?」

夫の顔色、やばいです。
目の錯覚かもしれませんが、柩が似合う顔色です。
技術の薄利多売仕事で、睡眠不足なんです。

「寝てろ」と言いたいのですが、言えません。
仕事で疲れた時は、寝るよりも、何かお楽しみが欲しいものです。

「あっちいけ」と言いたいのですが、言えません。
わたしが現在やっている創作は、収入につながるかどうか不明な水物ですが、
夫が現在やっている仕事は確実に「薄利」となります。

その薄利でわれわれ夫婦はカスミを食って生きています。
そのうちわたしが大黒柱(予定)になるのですが、今はまだ、
夫が緻密に建てたワリバシラで暮らしているのです。

DVDを選ぶ権利を譲ってあげました。
するとあろうことか、なんと、夫は西部劇を選ぶじゃありませんか。ケッ
先日は刑事物で(当たりだったけど)、今度は西部劇ですか。ケッ

冒頭だけつきあって、あとは本でも読もうと思いましたが
これがまたまたとんだヒロイモノでした。

『勇気ある追跡』1969年アメリカ映画

511ijqdzfel

  
かの有名なジョン・ウェインです。と知ったかぶってみましたが、全然知らない。
有名な俳優らしいのですが、西部劇に興味ないので、知りませんでした。

西部劇っつったら、荒野、馬、銃でガンガン。
その先入観で興味が持てなかったのですが、驚きです。
この映画、15歳くらいの女の子が出てきます。
父を殺され、復讐のため、犯人を追いかけます。
そのために保安官を雇うのです。

保安官っつったら、わたしの中で「おまわりさん」で、正しい人という印象でしたが
違うんですね。そういう時代ではないんです。
悪をもって悪を制す。そんな時代です。
この保安官、賞金稼ぎのあらくれものです。
のんだくれで、乱暴者で、冷血です。
言ってみれば、殺し屋みたいなものですね。

殺し屋保安官(ジョン・ウェイン)と少女の、危険な犯人追跡の旅です。

子どもへの優しさなど皆無です。
このオッサン保安官、少女からお金をだまし取り、おいてけぼりにします。
少女は苦境に立たされますが、泣きません。
なんと怒鳴りながら歯をくいしばってオッサンを追いかけます。

もうひとり若い賞金稼ぎが加わって、結果、3人で旅をするのですが、
誰も信頼し合っていません。
互いの利益のために、手を組んだり裏切ったり。
命の重さもふわっと軽いです。

それでもこの映画には根底に「健全な精神」が流れています。
たとえば少女へのセクハラなどカケラもありません。
敵もそう。「女を殴ったことねーし」と少女の扱いにとまどいます。
健全です。
残酷なシーンはちゃんと残酷として描かれます。
死者への思いもちゃんと描かれています。

比べ、現代のドラマや映画には不健全がうずまいています。
「グロテスクな精神」をウリにする作品が多いです。
毛穴が縮こまるような、残忍な精神です。
なぜそういう方向になってきてしまったのでしょう?

食うか食われるかの時代は過ぎて、おなかが満たされても、
人はまだ食うか食われるかを続けています。
精神の食うか食われるかです。グロテスクです。

この西部劇、危険な旅へ出る前に、少女の前で
ジョン・ウェインがねずみを銃で撃つシーンがあります。
それが彼の「あらくれ度」を表す表現なのです。

比べ、『沈まぬ太陽』では象を撃つシーンがあります。
それがなんと、ヒーローであるはずの主人公の行動です。笑ってしまいます。

不健全はひとの気をひきますが、それはいっときの「驚き」に過ぎません。
普遍的な感動は「健全」の中から生まれる。そう信じたいです。


応援クリックよろしくお願いします人気ブログランキングへ


レンタル情報はこちらで TSUTAYA online

« 沈んだ太陽 | トップページ | 新釈 アリとキリギリス »

シネマdeぶんぶん」カテゴリの記事

コメント

夫婦の趣味って,難しいですよね?DVDの様に見たい題材が,男と女では大きく違いがあるし〜興味引かれる事も生まれながらに違うのですから〜それでもって感想も違います!だから夫婦で感想を共有しません!当然一緒に見る事もありません!まだ夫婦で共有できるだけ良いと思ったら良いのでは〜沈まぬ太陽は〜ビデオに録画したので〜見せるつもりですが〜感想を聞きません!結婚してビデオに取る事はするが?感想を聞いた事無い!だから夫婦で居られるのかな?

飛び道具(大きな音や衝撃的な映像)や、人気タレントをキャストし総動員数を
稼がなければならないというのも、分からないでもないけれど・・。
原作者・脚本家・監督の描きたい物を撮ったというよりは、話題性を狙った作品が
多すぎる様な気がします。(それでも良いものは良いのですが)
淡々と話しが進みつつ、じわじわと心を動かし、最後には琴線を揺らすような
地味だけれど良い作品をJUNKOさんに作って欲しいです!

michiさま
そうですね。
夫婦で同じものを見て、感想を言い合えるのは恵まれているかもしれません。
わたしと夫は考え方その他いろいろと違いはありますが、
美しいと思うものと醜いと思うものが似ています。
それでどうにか夫婦をやっている、という感じです。
 
 
まあくん
ありがとうございます。
わたしは以前はっきりと「あなたは無名なので使えない」と言われたことがあります。
キャストはもちろん、有名な原作、既に名の通った作家、話題性、それで企画が成り立つようです。
でも、いいものを作ろうと頑張っている人たちもちゃんといるので、
わたしもあきらめずに腕を磨き、日々精進します。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/562780/50860130

この記事へのトラックバック一覧です: 食わず嫌いを克服 西部劇:

« 沈んだ太陽 | トップページ | 新釈 アリとキリギリス »