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2011年3月 8日 (火)

拭きまくる緒形拳

娘からメールが来ました。「英国王のスピーチ良かったよ」

びっくりしました。
「ニュース? 事件? イギリスで何かあった?」

すると娘はあきれてこう返してきます。
「ああもう、世の中のことどーでもいいんだね」

どうやら公開中の映画みたいです。
評判、いいらしいです。『英国王のスピーチ

そのうち時間ができたら観に行きましょう。
娘が言う通り、世の中の出来事が頭に入って来ません。
今、作品妊娠中で、頭がそっちに行ってます。

実際の妊娠、出産のときもそうでした。

娘を産んだのが2月中旬で、育児に打ち込みまくり(必死です)、
久しぶりにテレビをつけたのが4月1日(よく覚えています)。

「今日から国鉄はJRになります」と後藤久美子が言いました。
国民的美少女(当時)後藤さんが「国鉄じゃなくなるよっ」と言うのです。

「わかった。これ4月馬鹿だ。エイプリルフールだ」わたしは確信しました。

よその国では、4月1日に嘘のニュースを流すそうです。
とうとう日本も嘘の国際化を始めるんですね。と思ったら、
ほんまもんのニュースだったんですねぇ。
「知らないなんて信じられない」とみなから驚かれました。

最近、DVDも見ていませんが、昨日、
一週間ぶりくらいに、DVDを見ました。

『ミラーを拭く男』2004年公開日本映画 緒形拳主演

Images


この映画は公開前に試写会で見ました。
シナリオの勉強をスタートする前です。

面白くて変わった映画だった。という印象だけでしたので、見直してみました。

なんと。
ストライクゾーンの映画です。かなり、好きです。
一般の評価はあんまりらしいのですが、わたしは好きです。

退職を間近に控えた気まじめな男(緒形拳)が、
車でミクロサイズの事故を起こします。
かなりちっさい出来事なのですが、男の人生を変えます。
男はカーブミラーのお掃除を始めます。
市内を拭き終えると、全国区へ。
退職金も家族も捨て、ひとり拭いて拭いて拭きまくります。

この映画のすごさは、主人公のセリフが「無い」ということです。
「う」とか「え」しか言いません。
ああ、ありました。1番長いセリフは「実は」です。
口をきかないわけではないのですが、きいているシーンは音声がオフになっており、
徹底的にセリフを排除して、男の行動を描きます。

見て、感じる。そんな映画です。

彼はあらゆる人からあらゆることを言われ、それをつっぱねることなく、
ゆるくあいまいに吸収します。
そして自分は何も言いません。ただ、ミラーを拭くのです。

人間がそこに見えます。

テーマは「夫婦」かもしれません。でも、受け取り方を強制しない映画です。

すばらしい映画ですが、たったひとつ、ひっかかるのは冒頭です。
この映画、冒頭だけ「監督別人か?」と思える構成になっています。
時間軸をグラグラ揺らし、それが逆効果になっています。
なんでこう編集しちゃったのか、謎です。
淡々と時間軸に沿って描いた方が効果的だとわたしは思うのですが。
感情移入しにくい構造になっています。わざとかなぁ。

とはいっても、全体には上等のさらに上の出来上がりです。
こんなにセンスの良い映画は珍しいのではないでしょうか。
映像にも才気を感じます。

緒形さんがまだふっくらとして、お元気です。
わたしは緒形さん演ずる「木こり」が主人公のシナリオを書いたことがあります。
キャストをイメージしてシナリオを書くのを「あてがき」と言います。
緒形さんにはあてがきしたくなる魅力があります。
習作で、どこにも出していません。
日の目を見ないうちに、緒形さんが亡くなったので、すっかり宙に浮きました。

いつかこの話を完成させたいな、と思っています。

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コメント

「ミラーを拭く男」は、わが宮城県でもロケがありました。
日本三景 松島を見渡すことが出来る七ケ浜という町もそのひとつ。
映画が出来てから知ったので、観に行くことは出来ませんでした・・。
映画も観ていません。DVDを借りに行かなくては!
緒方拳、印象的なのは「陽暉楼」 浅野温子も頑張ってましたね。

まあくん
そうですか。宮城でも。
DVDぜひ見てください。
本編はもちろんですが、特典映像もおすすめですよ。
緒形さん、体はってんなーってびっくりします。
いや〜あぶないあぶない。事故で命落とさなくてよかった!って感じです。
「陽暉楼」見ていません。全然知らなかったです。
浅野さんは大好きな女優さんです。

どの役者さんもそうなんですけど、
でも、特に緒形拳さんには…、長く活躍してほしかったです。

1868さま
ほんと、惜しい人ですよね。
最後の最後まで、お仕事されていたので、
ご本人は生き切ったお気持ちかもしれませんが。
残念です。

当方も世の中の動きとはあんまり関係なく暮らしていて、「英国王のスピーチ」と聞いてええっ!と思いました。

「“英国王”がスピーチしてるってことは、エリザベス女王がどうかした? ほ、崩御? いや、イギリス王位って存命中に上譲位できるんだっけ?」とか、さまざまなことを考えてしまいました…

でも、まだ全然長生きしそうですもんね、エリザベス女王。

蔦谷Kさま
まったくおんなじです。
イギリスになんかあった?と。
そういえばエリザベス女王って何歳なんでしょう?
最近見かけない…と思ったら、自分がテレビ見てないんでした!

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