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2011年4月14日 (木)

なくしちゃったモモちゃん

図書館に行きました。

いくつかお目当ての本があって行ったのですが、
図書館や本屋さんは「お目当てに一直線、すぐ帰る」ってわけにはいきません。
ついぶらぶら、時間を忘れて居座ってしまいます。
わたしは本の背表紙を眺めるのが好きです。
背表紙をながめて、「ぴん!」ときたら手に取る。

わたしが初めて買ってもらった本は、
松谷みよ子の『ちいさいモモちゃん』です。

幼稚園で、毎日、先生が読み聞かせをしてくれたんです。
面白いのに「今日はここまでね」と先生は本を閉じます。
ああ、閉じちゃった! 失意です。

4歳かそこらですが、毎日の失意はコタエます。

続きが読みたい!
幼稚園の帰り道、母にそう言ったら、
母はその足で本屋さんに連れて行ってくれました。
そのときのこと、今でも覚えています。
本屋さんは売るのをちゅうちょしたんです。

「幼稚園児が自分で読むのはちょっと…無理ですよ」

今は対象年齢がどうか知らないのですが、当時は小学生向きだったようです。
たしかに絵本ではありません。
母は「そう、無理かしらね」と素直に相槌を打っています。

買ってくれるかな? くれないかな?
どきどきしながら待っていたら、買ってくれたんです!

うれしかったー!

普段、うちの親、気前良くないんです。
学習机はオフィス用のスチール製だし、すきやきは豚肉だし、
「欲しい」と言ってすぐに買ってくれるなんてまずないです。
だからこんなにも鮮明にその時の喜びを覚えています。

初めて買ってもらった自分の本。
帰ってページをめくる時、「幼稚園の先生」になったような
はれがましい気持ちになりました。

いっきに全部読んじゃいました。
「今日はここまで」なんてくそくらえです。
ばーっと読んで、その後なんどもなんども読み返しました。
わたしがあんまり喜んだので、
母は「これからは月一冊、本を買ってあげる」と約束してくれました。

わたしは本屋へ行くと、手にとって、「重たい本」を選びました。
一冊なら、字がいっぱいあるもの、量がたくさんのものがいいと思ったんです。
当時のわたしは背表紙じゃなくて、重さで本を選びました。
結果『世界少年少女文学全集』みたいなものになりました。
何を読んでも面白い年頃でした。

そういえば、学校の推薦図書とかは読んでないなぁ。
ほら、夏休みの読書感想文の課題図書みたいなやつ。

世界文学全集もぜんぶ面白かったけど、『ちいさいモモちゃん』は特別。
初めて手に入れた本ですからね。
大人になっても大切にしていました。

数年前、読もうと思ったら、どこにもありません。
離婚や再婚のドタバタで、なくしてしまったようです。
えーと、これ、けっこうな喪失感でした。
日本がたいへんな今、たった1冊の本で、あれこれ言うのははばかられますが、
さーっと血が引いてしまうような、喪失感がありまして…。
今でもときどき、押し入れを捜索したりしています(本日もしました)。

現在書店や図書館にあるものは、そのときの装丁と違います。
わたしが持っていたのは初版本なのかも。
1965年が初版だから、きっとそれ。

いつか古本屋さんで再会できたらいいなぁ。
表紙は白地で、きみどりの丸がいくつか縦に並んでいました。
背表紙は紺だったかなぁ。
ざらりとした手触りのハードカバーです。
中は、ときどきカラーページが挟んであって、人形の写真があるんです。

その10年後に出た『モモちゃんとプー』はうちにあります。
なぜか森昌子のシール貼ってある。

Momo Momo_se

のちに松谷みよ子さんの随筆『小説・捨てていく話』も読みましたが
こちらはたいへん重苦しい話で、ぎょっとしました。
明るいあたたかいものを生む背景にはこういう暮らしがあるのだなぁと
ある種の納得感はありましたが。

あれこれ思いをはせながら、児童書コーナーを歩いていると、

「おおやまさん」と呼び止められました。

 
わたしを呼んだのは、本の背表紙です。

Ohya

呼ばれたと思ったのは間違いです。
「おおやまさん」ではなくて「おおやさん」ですね。

面白そうなので借りました。
児童文学は今も好きで、『あしながおじさん』や『赤毛のアン』など
たまに読み返したりしています。

同じものを、ラストもわかってて、でも読んでいて楽しいのです。
映画もそう。同じものを何度も見ます。

なんども繰り返し楽しめる。
上質なものは、色あせずに残ります。
そういうものを丁寧に創っていきたいなぁ。

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ホン de ぶんぶん」カテゴリの記事

コメント

地震のなんやかんやで、本を整理しています。
子供の頃に両親からプレゼントしてもらった本が出て来ます。
冒険もの、道徳もの、名作もの、偉人もの、性教育もの(←おしえるの、はずかしかったんだろうな、笑)、
…いろいろ考えて買ってくれていたんだなあ、
と、今頃になって、親心に気付いています。

ちなみに、はじめて買ってもらった本(絵本以外)は
『エルマーのぼうけん』『ながいながいペンギンのはなし』
の2冊でした。

ちいさいモモちゃん〜アマゾン.comに1円で〜売っているよ!中古だが!
探せばあるんじゃないの?ヽ(´▽`)/

1868さま
そうですか。親御さんからいただいた本。
久しぶりに見ると、胸がいっぱいになりますね。
性教育ものはわたしの時代に無かったので、時代性を感じます。
『エルマーのぼうけん』はたしか推薦図書にありましたよ!
わたし、読んでないのですが、こんど読んでみます。『ながいながいペンギンのはなし』も未読です。
  

michiさま
わたしが探している白い表紙のものは、古い版のもので、アマゾンでも見当たらないんです。
ネットで見あたらなくて、結局押し入れ探しちゃうんですよ。
でももっと探せばあるかしら…

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