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2011年5月11日 (水)

怒るひと。掃除するひと。

福島の原発事故で、立ち入り禁止区域の住民が一時帰宅できるというニュースを知りました。

帰れない人たちのこと、残された動物達のことがずーっと気になっていて、
頭の上に石がのっかっているような気持ちでしたので、
ニュースを知って少しだけほっとすると共に、時間が経ちすぎるくらい経ってしまったので、
直視するのがこわい…という気持ちもあります。

「すわ、避難!」となって、とるものもとりあえず避難した人たちは
こんなに長く帰れなくなるとは思わなかったでしょう。
政府にしても、高濃度の放射線汚染された場所へ国民を帰すわけにも行かず、
半減期などを伺って、ようやくこの時期となったのでしょう。

幼い頃、宮崎に住んでいて、台風による避難をなんどか経験しました。
まるでドラマのように、夜中に玄関の戸を叩く人がいて
「水が来ます!危険です!避難してください」と
鬼気迫る声がするんです。

子どもなので、ねぼけまなこなのですが、
大人たちがバタバタと身支度をして、
気がつくと家族みんなで小学校の体育館にいるのです。

不謹慎ですが、子ども心に、非日常が面白かったです。
「明日は帰れる」という確信があったからです。
たいてい避難は1日で済み、戻った自宅は庭の木が倒れていたり、
雨戸が傷んでいたりしますが、すぐに日常が戻ります。

父は勤め人で、全国を転勤するお仕事でしたから、
地元の土地が少々荒れても、給料に変化はなく、我が家の生活は変わりません。
子どものわたしに危機感はなく、どこかヒトゴトだったのでしょう、
避難は遊びのような感覚でした。

ところが今回の震災はそうはいきません。
津波で土地を失った人々は、すぐには戻れません。
また、福島の原発区域は、ひょっとすると、生涯戻れないかもな惨状です。
東京にいるわたしが想像するだけでも、頭の上に重しがのっかるような
息が詰まるような現実があるのです。

酪農家の白髪の男性が、一時帰宅の前の取材に答えていました。
とても印象的だったのは、にこにこおだやかに笑っているのです。

「おらたちがこうして元気に生きているんだから、
あの子たち(牛たち)も元気に生きていると思う」

その男性は避難する時に牛を放して来たそうです。
集団できっと生きていると男性は言います。

危険区域の牛たちが海沿いを集団で走っている映像を見たことがあります。
それは空撮映像でした。
牛たちは痩せていましたが、集団で生きていました。
でもそれも、ずいぶん前の映像です。

にこにこ笑った男性は、一時帰宅に許された2時間、
自宅に戻らずに牛舎の掃除をし、枯れた草を集めていました。

「牛の死体はなかった。家の周囲の草は食べたあとがあった。
あの子たちが戻ってきたときに食べられるよう、草を集めておいた」

避難所に戻って来た時も、男性の顔は柔和でした。

いろいろな思いを飲み込んで、柔和な顔を見せてくれた
その男性に救われる思いがします。

わたし、政治のしくみはよくわかりません。
でも、復興支援の対策委員になるのを自民党と公明党が拒否したことは
なんだかもう、ばかばかしくって、あきれてしまいます。
与党だ野党だと、彼らなりに理屈はあるのでしょうが、
国民からすると、「復興支援に協力しません」と堂々、
国会議員が言っているわけで、それ、奇妙です。
国会議員やめてください。と言いたいです。

原発を推進してきた自民党はまず謝って、助けに走らねばならないのに、
なんで怒ってばかりいるのでしょう?

怒る人、叩く人は「自分に非は無い」と責任を放棄しているように見えます。
福島の知事も、東電の社長の謝罪を拒否してぷりぷり怒っていましたが、
原発を受け入れ、そのうまみを選択していたという点で、
住民の安全を重視しなかった罪は県側にも少しはあって、
怒るよりも、すぐに一緒に対策を練るべきじゃないのかな?
と思うのですが。知事までがすっかり被害者側の顔です。

怒る。
ろうばいした時に、「怒る」という行為を選択する人がいます。
それは生存本能のひとつの形なのでしょうが、
わたしはあまり好きじゃありません。
引き受けてない感じがするのです。

にこにこ笑って「どこかで生きている」と言いながら
与えられた2時間を牛たちのために費やした
あの男性の姿を見習いたいものです。

あ、かくいうわたしも怒りますよ。
朝青龍を追いつめたやくみつる氏や内館牧子氏にいまだ怒っています。
どこかで偶然おふたりに会ったら、不平不満がナイアガラの滝のごとく流れ出ますので、
おふたりには間違ってもわたしに会わぬよう、気を付けてくださいと言いたいです。
わたしもまだまだ、人間修行が足りませんね。


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コメント

こんな事書くと不謹慎かと〜思われると思うが〜放射能が流れ出し福島の原発20キロ県内の人々は,本当はもう自宅には帰られないと思っている事は分かっているんだろうと思うが,認めたく無いんだろうね!
でも前に進むには,今の現実を認め前に進む事を考えないと駄目じゃないのかな?
気持ちは良く分かると言いたいが,きっと本音では分からないんじゃないかな?
他人の痛みなんて当事者以外,分かる訳が無いんだろうね〜(゚Д゚)ハァ?
でも〜大事な命がつなぎ止めれたんだから,大切にして欲しいと思うけども?

自分も非日常になると、どこかしらわくわくする気持ちになりました。
大人になってからも、時々、
「誰も死なない程度に(※自分の嫌いな奴は除く)、宇宙人が攻めてこないかなー」
とか考えてみたり。

避難所を訪れた東電の社長や首相に怒りをぶつける被災者の気持ちもわからないではないけど…、
あれを見ちゃうと「あーあ…」って気持ちになっちゃいます。うまく言えないけど。

michiさま
やはり戻れないですか…
わたし自身は流れ者なので、土地への執着はないのですが
同じ場所で生まれ育った人たちの土地への思いって、特別なんじゃないかと思うと
今回のことはおそろしいような気がします。
次元は違うけどわたし自身も一度人生が終わったと思うことがあって
切り替えスイッチが入った日をはっきり覚えていますが、
自分で切り替えないと前へ進めませんね。

1868さま
避難所ってどれだけ不便かと思うと、
きっと社長や首相も、覚悟の上で不満をぶつけられにいくんでしょうね。
でも、知事はぶつける立場じゃないと思うんです。

子どもの頃は非日常が楽しくて、雨ですら好きだったのですが
おばさんになった今は日常がうれしくて、晴れた日はバンザイな気持ちです。
宇宙人が責めるといえば映画『マーズアタック』は面白怖かった…。

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