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2011年5月17日 (火)

みみずの心臓

洗面所にマットを敷いています。
そのマットがたいへんみすぼらしいことに気付きました。
思えば15年、使っています。
洗えばすぐ乾くので、15年間それ1枚でやってきました。

そのみすぼらしさは、なんと形容すればいいのでしょう。
顔を洗い過ぎて目も鼻も落ちてしまったようなたたずまいです。
顔を洗い過ぎて目も鼻も落ちてしまうことはまずありませんが
まあそんなふうに、すり切れ、色落ち、もはや息絶え絶えの様子です。

なぜこうもみすぼらしくなるまで、そのみすぼらしさに気付かなかったのか。
不思議なくらいですが、気付いたきっかけはよそさまの家です。
そのおうちのマットがすばらしかったんです。
華美でなく、地味でなく、色も床にぴったりで、もちろん元気です。
現役ばりばりといったたたずまいです。
本来マットというものは、こういう顔をしている。
それを教えてくれました。
背負って帰りたくなる気持ちを良識あるわたしは抑えました。

家に帰ると茫然自失です。
洗面所のこれはマットではありません。
元マットです。
マットのしかばねが横たわっているのです。

かわいそうです。
死んでも尚踏みつけられ続けるマットに同情し、
そんなマットを使い続ける自分にも同情します。

ふと、前の夫を思い出しました。
社会で普通に働いていると、現役の女性が目に入ります。
家に帰れば女性はいません。
元女性(わたし)がいます。
女性のしかばねを見て、茫然自失となり、
「取り替えねば」と思ってしまうのは、
男の心理として自然なナリユキだったのでしょう。

非情なる自然。

はっきり言って、わたしだって非情です。
現役のマットを知ってしまった今、元マットと暮らすのはごめんです。
わたしの心理として自然なナリユキです。

よし。買いましょう。
買うしかありません。
即、買いましょう。
ネットで買いましょう。

ありますあります。
いきのいいマットが数えきれないほどウリに出されています。
ウハウハです。
お値段を見るとピンキリです。
計算します。
うかつなわたしのことですから、うっかり15年は使うでしょう。
長く使うものならば、そうケチケチしなくてもいいのではないかしら。
そこで、中くらいの値段を選びました。
15年使えば、1ヵ月42円の計算です。
1ヵ月42円の消費なら、浪費とは言えないでしょう。

注文しました。
あっけない。
あっけなく、数日後に届く予定です。
時間も指定できるし、代金引き換えなので、事前の振込み作業は発生しません。

15年共に暮らす相手をこんなに簡単に手に入れていいのか。
若干の罪悪感を抱きつつも、これでいいんだと自分に言い聞かせます。

住み替えるわけではなく、マットを取り替えるだけです。
そこまで深く考察せずとも、ただ気分よくなればいいのですが、
そういうささやかな贅沢さえしてこなかったので、新鮮です。

1年前、車の天井に穴が開いてしまい、やむなく買い替えました。
そう、こんなこと、上記一行で済む話なのですが、現実には別れが辛く、
新しい車を選ぶのもしぶしぶで、さんざん時間をかけたあげく、
新車の喜びよりも手放す悲しさにナミダナミダの壮大なメロドラマになってしまい、
そのことを書こうにも1日の日記では済まない心のうねりがあり、
結局書けずじまいです。

 ↓ 形見にもらったバックミラー(あまりに執着したため車屋さんがくれました)

Mirror

ミラーを手渡された瞬間、思わず泣いてしまったら、
「ここまで乗ってくれたら車も本望でしょう」と車屋さんがなぐさめてくれました。

わがやにはしかばね系がまだまだいます。
冷蔵庫はフロンだし、テレビはアナログです。
わたしのようなみみずの心臓ではテレビの取り替えも
大騒ぎとなりましょう。

みみずって、心臓、あったっけ?

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コメント

洗面所?マット?我が家には洗面所なるところが?ありません!だから流しで,洗面です!
洗面所ある家は真新しい家なんでしょうね〜
我が家はもう〜古いので洗面所成る物が見当たらないが必要なのかな?
別に必要と感じた事が無い〜無い事で不便を感じないから必要の無い物なんだろうと!
ところで…ミミズ心臓無かったら生きていないのでは?形は人間の様な形じゃないにしても心臓成るものはあるでしょう!きっと〜〜ψ(`∇´)ψ

michiさん
洗面所ないですか? お風呂の出入り口によくあります。
幼い頃からたくさん引越しましたが、古い団地にもありましたし、
お化け屋敷のような家にもありました。
一軒だけなかったです。お風呂の中にそれらしいものがありましたが
そのときは流しで歯磨きしていました。
住居に合わせて生活スタイルが決まるので、無ければ無いで困りませんが
わたしには結構重要な場所です。鏡台持ってないので。
ミミズにも心臓ありますか…。ということは、血も流れている?

JUNKOさん、ごめんなさい…。
今度の日曜に地デジ対応の液晶テレビが届いてしまいます。
ハードディスクとブルーレイディスクが付いているヤツです。
今使っているのがテレビデオなので、オールインワンを継承しました。
JUNKOさんと共に本当に7月に見られなくなるのか検証しようと思っていたのに…。
別に約束してたわけじゃないけど、勝手に約束破っちゃったような気分です。

私は黒電話とサヨナラした時ちょっと泣きました。
今度の日曜は泣くかなぁ…。

Kaeさま
まあ…約束してたわけじゃないけど、
約束してたような気分でいてくださったなんて、光栄です。
それよりなにより、おめでとうございます。
22日はチデジカキネンビになりますね。いいですね。
うちもその、ハードディスクとブルーレイが付いてるタイプを想定しています。
うちも砂嵐を避け、おそらく6月には購入すると思います。
わたしは完璧にめんどくさくなっちゃってますが、夫はやる気です。
もしよかったら、新しいテレビの使い勝手など感想をお聞かせください。
わたしは32型が欲しいのですが、夫は小さいと思っているようです。

黒電話。昔、使ってました!
黒電話になんと服を着せていました! なんでだろ?

JUNKOさんの文に触れて、私は小さいころの記憶がよみがえりました。
電気代をくうおおきな冷蔵庫を親が買い換えたときのこと。
その大きな冷蔵庫のゴウゴウと鳴る?ような音に妙に安心感を
覚えていて、そのころ私は世間に疲れていたようで(おそらく7歳くらい?)
よくその冷蔵庫の足元で寝転がっていました。

その冷蔵庫が見知らぬボロいトラックに連れ去られていく姿、
今でも覚えています。涙がでた。本当に悲しかった。
どうして大人はこうも簡単に捨てられるのだろうって思った。

今はごちゃごちゃしてるのが苦手で結構捨てる自分がいるのですが
あのときの自分がなんだか愛しい気分です。

JUNKOさんちのマットさん、お疲れ様でした。ありがとう、ですね。

なみなみさま
冷蔵庫の足元で寝転がる。で、あっ!と思ったのですが
吉本ばななさんの「キッチン」という小説に、
冷蔵庫の前で寝る人が出てきます。
たしか安心するとかいう理由だったような…
今までその意味がわからなかったのですが、ひょっとして「音」かなと。
なみなみさんのコメントを読んで、気付きました。
あれ、胎児が子宮の中で聞く音と似てるのかも…。

>その冷蔵庫が見知らぬボロいトラックに連れ去られていく姿、
今でも覚えています。涙がでた。本当に悲しかった。

ドナドナド〜ナ〜ド〜ナ〜note ですねぇ。
その時なみなみさんは胎児を卒業したんですよ。きっと。

元マットは洗濯してみました。洗濯された意味もわからず、
はりきって乾こうとしています。

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