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2011年5月13日 (金)

わたしの本名

贈り物に厳しい目を持つ母にハンドクリームを贈ったその後ですが
いまのところノーコメントで、反応はありません。
電話はかかってくるんです。最近ひんぱんにかかってくるのですが、
ハンドクリームについてはノーコメントです。反応ナッシングです。
こちらも「どう?」と聞いてあーだこーだ文句を言われるのも嫌なので
聞けないでいます。

想像はつくんです。
まだ使ってない。これです。

使ったことのないものを使うのって、めんどくさいのでしょう。
母はハンドクリームを使ったことがないと言ってました。
それで別段困ってないのなら、使う動機付けがありません。

たとえばわたしが毛染めクリームをもらうとします。
今まで1度も髪を染めたことのないわたしが、
毛染めクリームをもらったら、うれしい反面どうしたらいいかわからず、
使用方法を判読するのも面倒で、1年はほっておくと思います。

母はわたしがあげた贈り物に反応を示しませんが
わたしが載った雑誌についてはえらく喜んで、
「あんたが載ってる。文章も読めた」と電話をくれます。

メルマガ『ぶんぶん便』にも書きましたが『公募ガイド』に載った手記です。

Kobo_guide

作品が載ったわけでもないのに。
まるで小説が出版されたかのような喜びようです。

 
父や母は自分達が付けた名前「大山淳子」が活字になるのがうれしいようです。
母は「大山という名前でいいのかい? うれしいけど」と気兼ねしています。

大山は生まれた時に背負った苗字で、現在の戸籍名とは違います。
わたしは途中離婚もしているので、旧々姓です。

夫婦別姓などの主義主張は全くありません。
結婚するとホイホイ苗字を変えます。
苗字で自分の人生が左右されるなんて思ってないんです。
そのあたり、意識が「雑」なんです。

ところが離婚するときに、「雑」ではいられなかったんです。
ちょっと手の込んだことをしました。
最初の結婚の時の苗字を継承したのです。
離婚したら旧姓に戻るのは普通の流れで、簡単です。
籍を抜くのに苗字はそのまま。これには少しだけ手続きが必要になるのです。

弁護士は反対しました。
理由はこうです。

もしあなたが将来再婚して、また離婚した場合、
生まれた時の苗字に戻れなくなりますよ。
ふたりの元旦那の苗字から選ばなくてはならなくなるんです。
旧姓に戻す最後のチャンスです。

そう聞いてもピンとはきません。
再婚? ありえません。
さらに離婚? ありえません。

結婚して十年間真面目に専業主婦をしてきて、普通に暮らしてきたのです。
浪費家でもないし、酒乱でもないし、暴力もふるわないわたしが
「好きじゃなくなった」という、夫の気持ちひとつでリストラされるんです。

どんだけ魅力ナシ?
心身ともにぼろんぼろんなわたしに女としての展望はなく、
せめて娘とふたり、精一杯幸せになりましょうと、再スタートを切るわけです。
娘の苗字を変えたくないという母心もありました。
でもなによりわたし自身、離婚を実感するのが怖かった。
苗字が変わると「離婚した!」ってビシビシ感じるでしょう?
離婚したことを忘れていたい。受け止めたくない。
だから生まれた時の苗字「大山」に戻さなかったんです。

しかし弁護士さんというのはさすがです。
自治体の無料法律相談で出会った弁護士さんですが、
真摯にわたしの将来を考えてくれてたんですね。
わたしは弁護士さんの心配通り、再婚することになりました。
苗字は「大山」を選べません。
前の夫の苗字を名乗るのも変だし、今の夫の苗字に変えました。
娘も「おめでたいことだからいいよ」と受け入れてくれました。

そんなこんなで、戸籍の名前は3つ目です。
今の夫が「好きじゃなくなった」と言い出したら、どうしましょう?

状況次第で苗字は変わってしまう。そんな経験があって、
戸籍の名前を「本名」と呼ぶ気にはなれません。

それで、元祖わたしの名前「大山淳子」を仕事で使っています。
仕事だけでなく、同窓会も大山だし、表札も出してます。
自分ではこれが本名だと思っているんです。
「大山さん」と言われると、気合いが入るし、責任も感じます。

戸籍の名前は病院や役所、免許やカードで使っています。
こちらの名前も好きです。ちょっぴり他人事みたいな感じで気楽です。
他人事で選挙をし、他人事で健康診断を受け、他人のカードでものを買う。
気楽です。

母は本を読まない人です。
活字は毒で、頭が痛くなるんだそうです。
母が読むのは新聞くらいなもので、巨人軍の大ファンなので
勝つと奮発してスポーツ新聞も買って読みます。
母はわたしのシナリオも読んだことがありません。
でも今回「公募ガイド」の文章は読めたらしく、自信がついたようです。
「小説もがんばって読んでみるわ」と言ってます。たぶん無理です。長編ですから。
でも「読んでみよう」と思ってくれただけでもありがたく、
そんな調子でハンドクリームも「つけてみよう」と思ってくれないかしら?
などと、欲をかいています。

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ぶんぶん的日常」カテゴリの記事

コメント

やはり親子ですよ〜junkoさんも,髪染めを貰っても1年間使わないなら,お母さんは普通でしょう.
ハンドクリ-ムだってjunkoさんだって,最近使い始めたばかりでしょう!
必要な物は必要だが必要でない物は必要でないという事だと思ったら良いと思うな〜
私も何故?女性があんなに高価な化粧品を買うのか?分からないし?
化粧だって薄ければ薄い程奇麗だと思う!
化粧品の付いた手でおにぎりを握られたら,食べません!拒否します!
必要と思う物だけ受け入れて生きれば幸せだと思いますよ!

ごぶさたです。
でも、ちょくちょくのぞきに来ています♪

「公募ガイド」、私もお世話になりました!
チェックしてみますね。
ご掲載、おめでとうございます☆
なんだか、うれしい。

ではでは!

michiさん
michiさんに言われて、もう昨日あたりからハンドクリーム使うの
忘れてたことに気付きました。慣れてないと存在を忘れます。
おにぎりと言えば、祖母のおにぎりは
石鹸臭くて食べられたものじゃなかったと
よく母は言います。
化粧とか、匂いのするものを嫌うのは、そのせいかも。
わたしは化粧をします。
社会に対する防護服のようなもので、よろいです。


けろっぱちさま
お元気そうで何よりです!
公募ガイドはたったの1ページで、立ち読みで読めます。
「賞と顔」のコーナー(P30)です。

今月の公募ガイドはエッセイの書き方のポイントが載ってます。
ブログもメルマガも自己流なので、読んだほうがいいのかな…などと思いつつ
まだ読んでいません。

そうですか、ハンドクリーム、おそらくまだ手をつけてないんですね(笑)。
使わなくても、見るたび「あ、これ、娘からもらったんだ」と
ほっこりしてるかもしれませんよ。プレゼントの意味はそこにもあります!

名前って、いろんな姿に変わりますね。
あだなになったり、ほとんど意識しないときもあるけれど、
自分以外の人との人生で女の場合はその名前が自分を
世間から守ってくれたり、傷つけたり、隠れ蓑になったり。

「大山淳子」は原点でJUNKOさんの生きてきたこと全部が
つまった作品のとなりに並ぶとき、一番、らしい、のかもしれませんね。

うちの親、自分の作品を読んでくれるのですが、
それを意識しちゃうと、性描写とか書けなくなって…。
そんなことで、はずかしがってる場合じゃない!
とは思うのですが、なかなか…(笑)

なみなみさま
そうそうそうなんです。
名前が守ってくれたり、逆に矢面に立たされたり、いろいろですよね。
わたしは戸籍名が隠れ蓑的存在で、たびたび逃げ込んでいます。

>「大山淳子」は原点でJUNKOさんの生きてきたこと全部が
つまった作品のとなりに並ぶとき、一番、らしい、のかもしれませんね。

ありがとうございます。
ふと想像して、ちょっと緊張しました。


1868さま
読んでくださるんですか!励みになりますね。
そういえば友人の親が小説の習作を書いて友人に見せるのですが
性描写があると「うっ」と引いてしまうと言ってました。
親が書く性描写。逆バージョンですね。
乗り越えてがんばってください。
そういえばわたし…性描写書いたことないかも?
あれ?なんでだろ?

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