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2011年8月19日 (金)

満月と三日月

去年公開した『ロビン・フッド』、DVDになったので、やっと観ました。

リドリー・スコット監督です。

この監督はすごい。
『エイリアン』『ブレードランナー』『テルマ&ルイーズ』『ハンニバル』などなど…

大作もそうでないものも、きっちり魅力的に見せる。
毎度ホームランを打つ監督です。

映画や小説や絵画など、創作物の評価っていろいろで、
好みもあるし、絶対評価はできないという考え方がもちろんあるけど、
わたしは少し違う考えを持っていて、

どんな育ちのひとも、国籍を問わず、性別を越えて、
「これは美しい」と思える形(ストーリー)がある。
と。
非現実的な仮説を持っています。

以前、NHK の『日曜美術館』で陶芸家が、

壷は「口」で決まります。「口の正解」を求めて毎回作ってゆくのです。

そういう感じのことをしゃべっていました。

わたしも物語を創るとき、「正解」を求めて創ってゆきます。
誰もが美しいと思う流れを探しながら創ります。

最初にかっちり決めないで、求めながら創ってゆきます。
ぼんやりとした想定はあるんです。
その想定よりもっといいものが生まれるのではないかと、
もっともっとと、創り進むのです。

「わたしの正解はこれです」を越えた先の、
「みんなにとり正解」にたどりつきたい。
受け取る側との相互帰結を目指しています。

スコット監督は、正解が見えているようです。
「この設定ではこれしかないでしょう」とうなるほどに
良い流れ、帰結を提示してくれます。

観ている間、一瞬もだれず、かつ、わかりやすく、
クライマックスにカタルシスがあり、
観た後「ありがとう!」と言いたくなります。

『ロビン・フッド』もそうでした。
ありがとう!な出来でした。

ところが不思議なことに、ひと晩越えると、急激に印象が薄れます。
同監督の『プロヴァンスの贈り物』もそうでした。
試写会で見た時は、会場から拍手がわくほどの感動でしたが
数日経つと、「どんな話だっけ」と記憶が薄れる。

ひょっとして、ひょっとするとですが、
正解って記憶に残りにくいのかも……。

記憶に残る作品は、「欠け」があったり、歪んでたりするものかも。
満月より三日月なのかも!

スコット監督の初期の作品は強く記憶に残っています。
正解が見えてなくて、歪みがあったのかもしれません。

シナリオを学ぶずっと前ですが『ピュア』という連ドラを観てました。
最終回、「裏切られた!」と驚き、落胆し、
以後ずっと傷心のまま、見直すことはありませんでした。
最近DVDを見直してみると、このラストであらねばならないと気付きます。
テーマを貫くと、そうなるんです。
しかし、悲しい。カタルシスを得られない。
重たいものを手渡された感じ。
でもだからこそ、記憶に残るのかもしれません。

創作って、面白い。
満月を目指してきたけど、三日月もいいな。

スコット監督が今『ピュア』を創ったら、どういうラストにするかしら?

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コメント

だから『三日月夜話』だったのですね?
えっ? 違うって (^_^;)/

まあくん
「三日月夜話」を書いた頃は、コンパスで描くような正円を目指していて、
つたないのでうまく描けず、よろめいています。
個性的ないびつさまで届いてないし、満月にも届いてない。
どうにか改稿して、いつか日の目を見せてやりたいです。

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