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2011年10月16日 (日)

勇気すこしだけ

本日は友人たちに会いに、都心へ出かけました。

行きの電車でのことです。
乗り継ぎの駅で降りたら、若者が閉まろうとするドアを
体をはって何度も跳ね返しています。

若者は叫びました。「急病人です!」

見ると、車内に人が倒れています。
そのまま電車が出てしまうと、ひと駅ぶん手当が遅れます。

わたしは咄嗟に駅員を捜しました。
駅員は見当たりません。
非常ベルがないか探しました。
するとその若者の仲間らしき人が、電車から飛び出し、
階段を駆け上がりました。
もうひとりはホームを逆に走り出しています。
手分けして駅員を捜そうとしています。
ドアを押さえている若者は、「急病人です」と叫び続けています。

駅員が階段を駆け下りて来ました。
若者の知らせが届いたようです。
次々駅員が降りて来ました。

わたしはほっとして立ち去りました。

おろおろするだけで、わたしは無策でした。
若者達はみごとな連携プレーです。
わたしも彼らのように動ける人になりたい。そう思いました。

帰りのことです。
バスに乗りました。
「出発まであと8分」と電光掲示板に書いてあります。

席に座ると、怒鳴り声が聞こえてきます。

わたしの2席前に座っている男性が、運転手に文句を言っているのです。
内容は「バス会社の怠慢、おごり、誠意のなさ」で、
まくしたてています。

どうやら8分待たされるのが嫌らしく、
「とっとと出せ」が本音なのでしょう。

「普段は間引き運転してるくせに! 乗客はみんな怒っている」などと叫びます。
しまいにバス会社の運営方針にも言い及びます。

推定80デシベルで怒鳴り続けています。
運転手さんはもちろん、乗客みな迷惑です。
いたたまれずに降りてゆく人もいました。

男性は太った体で、角刈りの頭に眼鏡のツルがくいこんでいます。
後ろ姿ですが「すこしやばめのひと」に見えます。

わたしは今朝、「動ける人になりたい」と思ったばかりです。
怖いけど、勇気を出さねばなりません。

わたしは言いました。「すみません、静かにしてくれませんか」

男性は怒鳴り続けています。
わたしの声が聞こえないのか、無視しているのかわかりません。

わたしの友人は昔バイト先で無銭飲食の客を追いかけて殴られ、死にました。
勇気の代償は大きいです。

わたしは今死にたくないです。
創作を続けたいです。
目と指は守らねばなりません。
もしもの時に備え、折り畳み傘をにぎりしめ、
もう一度、今度は大声で叫びました。

「静かにしてください!!!」

すると男性は振り返ってわたしを見ました。
薄い色のサングラスです。

怖い。

わたしは続けて言いました。

「わたしは今とても体調が悪く、大きな声に耐えられません。
お願いですから、静かにしてください」

仮病です。
右手には折りたたみ傘がありまして、
剣道は初段ですので、かかってこいです。

男性は言いました。「ごめんね」

あれ?
通じました。

話が通じたのか仮病が通じたのかわかりません。

男性は腹の虫がおさまらないらしく、文句を言い続けましたが、
推定40デシベルに下がっています。
車内の空気がややラクになりました。
おじさん、ごめんね、仮病使って。

弱いわたしだけど、半歩進めたかな。
少しずつ、行動できる人になりたいです。


よほど緊張していたのか、傘カバーを忘れて来ました。
わたしの勇気は小さいから、代償も小さかったです。

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ぶんぶん的日常」カテゴリの記事

コメント

すごい…。
JUNKOさん、すごいです。
勇気、ちっとも小さくありません。
おそらくカバーは返ってくるか、いつかどこかでもっと素敵なものをゲットするでしょう。

さらにビックリしたのが、剣道初段…カッコイイ。
初耳(初読み)です。
私が読み逃していただけでしょうか。

JUNKOさんがJUNKOさんで(←ここのところ上手く説明できませんが)
「お願い」したから通じたのだと思います。

本当にスゴイなぁ。
私には出来ないなぁ。

私も無理です〜無視するか〜降ります!
きっと降りるでしょう!勇気あるんだね〜
若者にも,拍手!勇気あるんだね〜

Kaeさま
勇気ありますかわたし?
なんだかうれしい。
ほんとですか?
とってもうれしい。
かっこよくふるまえなかったけど、わたしらしくが良かったのかもですね。
びびってました…

剣道は高校時代やっていて、段審査でちゃんと初段がとれました。
部内で優勝して勝ち得た木刀、今も大事に持っています。


michiさま
勇気ありますか? うれしいな。
少し自信がもてました。
ちょっとだけですけどね。
夫は「刺されないようにほどほどにね」と言ってます。

若者はすごかったですよ。かっこよかったです。

はじめまして。
以前よりブログを拝見させていただいておりました。

成功を掴む作家というのは、
ただ外を歩くだけでも
エピソードを拾うものなのかも知れない
と感じ入り、思わずコメントを残したくなりました。

本文については、なかなか出来ない
立派で、素敵な勇気だと感じました。
そして、注意に仮病を盛り込んだ事は
実に作家らしい咄嗟の機転だと
感心した次第です。

私もコンクールを狙ってシナリオを書いています。
宜しければ、また立ち寄らせて下さい。

まもるさま
お立ち寄りありがとうございます。
実はこの日記は弱い私の恥ずかしい経験として書いたのですが
「機転」と解釈していただいて、ハッとしました。
嘘で逃げてしまったと思っていたのが
「こういうのを機転と言うのだ」と
素直に自分を見直すことができました。
まもるさんの優しい目があってこそ、ですね。
ありがとうございます。

やさしい目線をもったひとのシナリオは
必ず人の心をつかみます。
コンクール、がんばってください。

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