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2011年10月29日 (土)

むささびヒーローが読む本は

打ち合わせの帰りの電車でのことです。

打ち合わせの帰りはいつも胸いっぱいに案件を抱えています。
頭がいっぱいという表現が正しいのでしょうが、
行きは頭にあった案件が、帰りは胸に降りてきている。
そんな感じです。

鞄を抱いてぼうっと座っていました。
すると前に座っていた男性が席を立ち、わたしの方へ歩いてきます。
男性が座っていた席に女性3人が並んで座り
「ありがとうございます」とその男性に言っています。

どうやら、乗って来た女性客が仲間で並んで座れるように
男性が気をきかせて席を移動したようです。
わたしもそういうことをするタイプなので、
「同類だな」と思いつつ、見ていました。

同類はわたしの隣へ座ろうとしています。
と、そのとき、

突然、電車が動きました。

突然と書きましたが当然電車は動きます。そういうものです。
ですがタイミングが悪かったのです。
男性はまだ席に座っておらず、急な動きによろめきました。

と、

飛びました!

跳んだというのが正しい表現かもしれませんが
わたしの目にはむささびのように飛んで見えました。

両手を広げ、わたしの目の前を飛んでいき、
着地すると、トトトと、ころばぬよう両手をバタバタさせ、
ステップしました。

はっきり言って、かなり恥ずかしい動きです。
前の女性客3人は驚いて目を伏せ、見ないふりをしました。
超ズッコケ姿なのですが、動機が美しいのです。

電車が動いたとき、バランスをとるためにわたしの足をちょこっと踏めば
コトは済んだのです。
わたしの足を踏まず、ひざにも触れずに解決しようとしたがために
「飛ぶ」という行為に到ったわけです。

美しい! 心根が美しい!

男性はきちんと体勢を立て直すと、
戻ってきてわたしの隣に座りました。

わたしは彼の親切心、正義感あふれる行為に感動し、
「好きだなぁ、このひと」と全身が熱くなる思いでした。
はっきり言います。ホレました。

多くの人がスマートさを求め、かっこつける時代。
他に心地よさを与え、かっこ悪さを引き受ける。
そういうひとにわたしもなりたい。

彼は文庫本を読んでいました。
わたしは彼が何を読んでいるのか知りたくて
覗き込んでみましたが、見えませんでした。
ブックカバーをしていたし、活字は老眼で見えません。

むささびヒーローの愛読書はなんだろう?
いつかわたしの小説も読んでくれるでしょうか?

もしこの文を読み、「それ、俺」と心当たりがあるかたは
文庫本のタイトルを教えてください。お願いします。

世の中はさらさらと透き通った美しい行いであふれています。
そりゃあ、ゆがんだ心も醜い行為もあるでしょう。
でも悪意ってわたしには幼稚に見えます。興味ありません。
美しいものを見つけて、拾って、磨いて、それを書いてゆきたいです。

Kakkuii


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ぶんぶん的日常」カテゴリの記事

コメント

まわりに気をきかせる、人に迷惑をかけない。
簡単なようで すごくムズカシイことですね。
スマートフォンではなく文庫本をというのが
その人の優しさを表しているのかも・・・。
(スマホも持っているかもですが)

JUNKOさんは その観察眼とひらめきで
いい作品を沢山書き上げてください。

まあくんへ
簡単なことって、難しいですよね。
恥を引き受けるとか、労を惜しまないとか、
器が小さいとできないです。
しかも彼は「とっさ」でしたから
ふだんからそういう行動様式で生きているんだと思います。

そういえばスマホ、株と同じくらい遠い存在です。
時代に置いてかれているわたしが文筆業だなんて、
だいじょうぶかしら。

先日、北杜夫さんが亡くなられました。残念です。好きな作家さんたちいなくなっちゃう。新しい人・新しい作品を読まないわけではないけれど、気にいったものを繰り返し読むタイプ。山口瞳・向田邦子作品は何度読んだかわからず。JUNKOさんの視点がお二方と似ていると思うのは私だけ?今現在、私のイチオシは大山淳子さんです。

まあくんへ
大御所と視点が似ているなんて光栄です。
山口瞳さん、向田邦子さんの作品はあまり接していません。
向田さんはシナリオ界の手塚治虫みたいな存在で、人間的興味はありますが
作品に触れる機会が少なかったんです。
どこが似てるんだろう?
わたしはなるべく長生きして、がんばってまあくんのイチオシで居続けたいと思います。

隣に本を読む人あれば、何を読んでいるか確認せずには要られません。最新の確認例は「氷点」です。未読ですが有名なので登場人物の名前で判りました。数行盗み読みして、私には読む価値無しと判りました。
むささびヒーローステキです。
でも、実際のムササビは自力では飛べません。滑空するだけで飛行実態は投げつけられた「濡れ雑巾」です。
家に棲んでいるムササビの子どもを家の猫が獲って来て座敷で食べました。首を隣の部屋でボール代わりにして遊んだようでした。
畳を掃除したのですがまだうっすらと血糊の後が残っています。

もとさま
氷点。
しぶいですね。
文学は永遠に残るのだと心強く感じます。

むささびとももんがってどう違うんでしょうね?
ふくろうとみみずくくらい区別がつきません。

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