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2011年11月15日 (火)

腹を決めた日

幼稚園に通っていたころのことです。

『ちいさいモモちゃん』という本を先生が毎日読み聞かせしてくれました。
「今日はここまで」と本が閉じられるのがくやしくて
むかえに来た母に「最後までぜんぶ知りたい」と言ったら、
その足で本屋へ連れて行ってくれました。

本屋さんが「幼稚園児には読めませんよ」と言ったので
ハラハラしましたが、母は買ってくれました。

わたしが母に感謝することは
まずわたしを生んでくれたこと、
その次が『ちいさいモモちゃん』を買ってくれたことです。

初版本で、大切に持っていたのですが、5年ほど前から行方不明です。
その本について書いてあるサイトを見つけました。

本日、文庫本が発売されました。

Momo

読み返すと、すーっと涙が出て来ます。
ことばが音楽のように心にしみます。
生きているのが楽しくなる文章です。

ちいさい子どもが出て来る児童書には違いないし、
ことばもやさしいのですが、
あまったるくなく、視線はクールです。

生きるきびしさ、さびしさをきちんと描いて、
なおかつ人間に希望を見ています。

文庫の帯には作家の角田光代さんの言葉で
「私はこれを読んで、小説家になった」とあります。

わたしは何を読んで小説家になったのかな…と考えて、
気付きました。

まだ小説家になっていないことに気付きました。

あはは。

シナリオを書き続けていたわたしが小説を書き始めたのはおととしです。
書けるかどうかわからないまま、てさぐりで習作を重ね、
寿命と貯金を削りました。

ある作品を書き終えたとき、「小説、やっていける」と思いました。

「やっていける」とは、受賞するとか食べていけるとかの成果ではありません。
自分の中で「小説を書いてよし」って許可が出せたんです。

その作品は来年出版される小説ではありません。
別のコンクールで最終に残りましたが、落ちました。

それを書き上げたとき、自分の中で何かが動いたんです。
内在するものを小説という形で表現できたという手応えがありました。
あまりにうれしく……泣きました(書いただけですよ)。
読み直すと、稚拙な文章です。
それでもその作品は、わたしに確かなものをくれたんです。
このままがんばれという「勇気」です。

来年出版する作品は、そのあとに書いたものです。
腹を決めてから書いた作品です。
気負いも背伸びもない、わたしらしい作品だと思います。

シナリオはもっと前から腹を決めています。
どちらもわたしにはなくてはならない存在です。

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コメント

「腹を決める」…いいですね、この言葉。
これなしには始まらない、これがあればたいていのことは乗り切れる、そんな感じ。
そうか、コレか、今必要なのは、なーんて、自分に引き寄せて読ませていただきました。

私も、母には「産んで育ててくれたこと」と「本だけは欲しがれば必ず買ってくれたこと」に心底感謝しています。
実はあーんまり両親を好きではないのですが(嫌いではない。苦手)、これだけは本当に本当に感謝しています。
ジャンルとか適正年齢?とか完全無視で、「どうしてもこれが欲しい!」と言えば買ってくれました。
他の物は一切聞く耳持ってくれませんでしたが。

Kaeさま
腹が決まると迷いがないので、
どーんとエネルギーがわいてきますよね。
そして笑顔で前へ進めます。
迷ったりひるんだりしていると、パワー半減しちゃいますからね。

わたしも両親が苦手ですよ。実は。うふふ。
むこうも「あつかいにくい子」と思ってるでしょう。うふふ。
自分も親になると、「生んで育てる」ただそれだけのことが
こんなにたいへんなのかとわかり…やはり感謝ですよね。

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