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2012年1月22日 (日)

トゲを抜かずに

たまに、あるのですが、
真夜中にふと目覚めて、その瞬間から、
前日書いていたシーンの続きが脳内で始まって、
登場人物があーだこーだしゃべるうちに、
そうだ、あなたはこう言いたかったのねと感心し、
それならばあっちのシーンをこっちにもってきて…
次々具体的にプランが浮かんで来て、それをメモする場合もあるけど
もういいやって起きて、書き始めたりするんです。

2日続けて、その発作がきて、
明け方まで書き、燃え尽きて寝直す。のくりかえし。

軽い時差ぼけ状態です。


おとといも『ALWAYS続三丁目の夕日』見ました。
わたしがあの映画を好きなのは、映画そのものが優れている、
というのもあるけど、主役が「作家」というのも大きいです。

書くしか能がない人間の痛みがじんじん伝わってきて、
こちらの胸もじんじん痛みます。


「好きなことやってるんだろ」と言われてしまえば、そうなんです。

芥川賞作家の田中さんはお若い頃から働きに出ず、書いていたそうで、
おそらく周囲にいろんなことを言われたことでしょう。

わたしも、言われました。一番どきりときたのは

「レジ打たないんだから、プライド高いよね」

わたしは何も言い返せなかったです。

レジは打ったことあります。
レジを打つこととプライドは関係ないと思います。
しかしこの言葉はトゲのように心に刺さり、
今も体の中から抜けていません。

離婚して、デザイン事務所のパートと文書校正の内職、
日曜日は自治体のアルバイトをし、子どもを育てていたわたしは、
再婚後もパートを続けました。
ある日、夫のおかあさんが言いました。
「あなたのやりたいことをやってね。それが息子の夢だから」

「やりたいことをやれ」と言われたのは生まれて初めてです。
周囲が心地よいように、存在する。
それがわたしにしみついた生き方なんです。
その言葉はありがたくもあり、やっかいな課題にも感じました。
そして、
自分の人生をちゃんと生きようと決心し、パートをやめました。

やりたいことに迷いはありません。
子どもの頃から書くことが好きでした。
書くことに限定して仕事を始めました。

書く仕事はあまりお金になりません。
フリーライターの世界は「1ワード1円」です。つまり、
400字詰め原稿用紙1枚で400円の世界です。
交通費を引いたら消えてしまう仕事もありました。

夫のスネをかじり、貯金を突き崩し、書きました。
テープ起こし、取材記事、映画紹介、インタビュー記事。
書き始めると自我が生まれ、わたしは成長し始めたんです。
もっともっとと夢が広がり、やがてシナリオの勉強を始めます。

そんなときに言われたのが「レジ打たないなんてプライド高い」です。
なんだかやけに痛かった。
痛みを感じる時は、たいてい自分に問題があるのです。
このトゲは抜かずにとってあります。
いつか痛みを感じなくなったら、本当に成長したのだと思います。

わたしだって、お金が欲しい。日々減る貯金がおそろしいです。
一時は公募に専念したため、収入ゼロです。

だんだん貯金もあやしくなりました。
近所でパート募集の情報を見て歩きました。
夜間だと時給が高い。これなら書く時間を捻出できるかしら?
そんなとき、原作大賞をとりました。
出版とドラマ化に専念するため、パートはしないことに決めました。
結局、書いてばっかり。

『三丁目の夕日』の茶川さんは言います。
「一生このままかもしれない。ずっと浮かび上がれないかもしれない」

そんな恐怖を抱えながら、わたしも書きました。
今もそう心境は変わりません。
なんの保障もない、明日をもしれないお仕事です。でも、

やりたいことをやってます。おかあさんのおかげです。

わたし、水族館が好きなんです。
回遊するまぐろを見ると、自分みたいだなぁと思います。
まぐろが泳ぐしかないように、わたしも書いています。
そこに明確な理屈などありません。

三丁目じゃないけど、うちの近所でも夕日がきれいです。左は富士山。

Huji Yuuhi


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コメント

痛いなぁ。自分の胸が痛い、ああ、痛い。
痛いだけに、沁みるなぁ。そんなJUNKOさんの書くものを
私は絶対読みたいです。

他人の見た目は気にする事無いと思うよ!
出来る事を地道に続ける事もパートに専念するのも大きな違いは無いと思うよ.
価値なんて,誰にも理解される必要も無ければ,長い時間努力しても伝わらない事が普通だから
まずは好きな事に専念出来る事があるだけ幸せだと思うよ.
一般的には報われない努力が普通だから!

>三丁目じゃないけど、うちの近所でも夕日がきれいです。

に捧げます


  大寒や夜の始めが夕焼けて  ハードエッジ


なぜか、ハードエッジは現役の食品レジ打ちです(笑)


なみなみさま
痛い思いさせてしまってごめんなさい。
ずいぶん前のことで、やっと書く気持ちになれて
自分としては、一歩進めた感じです。


michiさん
ひとに言われたことが気になるのは
わたしの中に有る罪悪感やコンプレックスが原因だと思います。
まだ抜け出せていないみたいです。
好きな事が見えていて、それをやることができる。
その幸せをかみしめて生きたいです。

ハードエッジさま
いつもすてきな句をありがとうございます。
食品レジ打ちですか!早さ勝負ですよね。暗算の試験ありませんでしたか?
わたしの友人はその試験で落ちました…。
わたしは幼児衣料品レジ打ちで、のんびり打てました。レジ締めもやってました。
たしか時給は745円でした。

小学校低学年の頃からレジ打ちを任されていました。背が届かないので丸椅子の上に立って、背が伸びるに連れ膝立ち、椅子なしで背伸びしながらと毎日ではないのですが店の手伝いは昔の子供は当たり前のことでした。
家業は盆と正月以外定休日が無かったので同級生が羨ましかったです。
生花店なので土日は結婚式の花束の配達をしながら小公女かマッチ売りの少女ゴッコを楽しんでいたような記憶があります。

もとさま
おはなやさんですか!
子どもの頃からレジ打ちできたなんてすごいです。
今はピッと通すだけみたいですが、昔は指で打ちましたよね。
マッチ売りの少女ごっことは、ほほえましいです。
働くって、誇らしいことですよね。

もう3年以上は前のことになりますが、
「傷ついた時って、たいてい傷つく側に問題がある」
と、ある友人の言葉がありました。

あ…そっか。と、思えてから、なんとゆーか、心置きなく傷つくことができるようになりました。
「問題がある」というのは「傷つく側が悪い」ということではなく、まさに「そこに問題があるよ」ってことで。

チクン、ズキン、とする度に、ん?なんで?って自分の中を探ると、ああ~コレかぁ~ってストンと腑に落ちます。
それで、心行くまで傷ついて、それから「じゃあどうしたい?どうなりたい?どうすればいい?」って考え始めます。

JUNKOさんのおっしゃるトゲって、これのことですよね~とすごく共感。
見つけたトゲを、そのままにするも良し、抜くも良し、抜いた後捨てるも良し、抜いてから「これって使えるんじゃね?」とワクワクするも良し…。

自分の中のトゲに気づかず、他人や世間のせいにしてると、コレはほんっとうに苦しいんですよね~。

Kaeさま
自分ってこういうことに傷つくんだな…って
発見することありますよね。
わたしの場合はそのほとんどが
自分の中にある罪悪感と劣等感です。
このレジうんぬんは、書くのにすら7年かかりました。
傷ついたこと自体が、恥ずかしいことじゃないか、って
今も自問しています。

ちょっと元気がもらいたいなあと思うとき読ませてもらうとじんわり沁みてきます。
文章で人を救えるって素敵ですよね♪

傷つくこと自体が恥ずかしい、なんてことはまったくないと思います。
世の中 強いこと 元気なこと 早いこと 効率的なこと ばかりに
なりすぎてるような・・・・

と書いている割に、JUNKOさんご存知のように、自分のやりたいこと
ばかりやってる人生で夫や息子に迷惑かけてます。

自覚はしてるけれど、ずっとこのまま行く気がしています(笑)

いろいろ心配事もあるけれど、なんとかやっていこうと思います♪

まみさま
自分のやりたいことをやっているひと、わたしは好きです。
見てて楽しいもん。
たぶん、だんなさまも息子さんも、そんなまみちゃんに
元気をもらってるんじゃないかなぁと思います。
ずーっとこのまま、行っちゃいましょう、お互い!

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