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2012年2月 8日 (水)

かいてかいてしる

いただいたコメントで、興味深い質問があったので、
本文に掲載させていただいて、考えながらお答えしようと思います。

ご質問は以下です。

「プロット→箱書き→シナリオ 皆さん、こんな感じで書かれているようですが、
大山さんも箱書きとかを完璧にして、煮詰まったところでシナリオ執筆、そんな感じでしょうか?」

自分、どうやって書いてるんだろ?
あらためて考えてみました。

実はわたし、「箱書き」ってどういうものか知らないんです。
城戸賞受賞後、映画の製作委員会に呼ばれ、何度かお仕事しましたが、

「大山さんはいつもプロットと箱書き、どちらで書きますか?
書きやすいほうで、いいですよ」

と言われ、箱書きを知らないから、プロットで書いてました。

プロットはお仕事により「ぺらっと1枚」だったり、
A4に30枚の場合だってあります。
必要に応じていろいろです。

プロットのあとはシナリオで、箱書きが途中に入った経験はないです。

箱書きってなんだろ?
プロットを表にしたようなものかな?
そのうち知るかも。

ここまでは仕事のお話。

コンクールの場合、わたしはプロットを書いたことがありません。

過去の受賞歴で言いますと。

『三日月夜話』映画脚本
『通夜女』映画脚本
『届けてレッドマン』ラジオ脚本
『モモと見た夢』ラジオ脚本
『猫弁〜死体の身代金〜』小説

この中で、事前に設計図を作ったのは『モモと見た夢』だけです。
設計図と言っても、流れの箇条書きです。

不妊症を告知される
 ↓
ショックで川を眺める
 ↓
流れてきた赤ちゃんをひろう
 ↓
隠れて育てるが夫にバレる。が、なぜか許される
 ↓
なぜか赤ちゃんが巨大化する
 ↓


こんな風に。
モノローグがすべて間違いだったという
シックスセンス風のどんでん返しがあるミステリーで、
この作品は流れだけは決めておきました。
視聴者を驚かせるのが目的ではなく、主人公に感情移入してほしかったからで、
ですから半分くらいで謎がとけるしくみになっています。

創作はいつも新しいことにチャレンジするつもりで、
内容だけでなく、書き方も変えます。ラストを決めずに書き始めたり
ラストだけ決めてあったりと、毎度、作品ごとに違います。

いつか「自分に合ったうまいやりかた」を見つけられるのかもしれない。
一生、試行錯誤かもしれません。

経験上では、やはり設計図を決めて書くほうが楽だしムダがありません。

しかしわたしの場合はですが、
イソップの倫理観と義務教育を越えない教養しか持ち合わせがないため、
理屈で作ってしまうと世界がちぢこまるような気がするんです。
人物が実際動いて行動するうちに起こって来る予測できないエピソード、
つまり、創作上では「よりみち」にあたるのですが、
そこに驚きとおもしろさをわたしは感じます。
その「よりみち」がメインストリートになったりするんです。

より素敵なラストを探すために、まずは初稿を書き、
ラストが見つかったら頭から伏線を貼り直す。
何度もペンキを塗り重ねるように頭から書き直しを重ねます。

『三日月夜話』も『猫弁』も一ヵ月かけてラストまで書き、
さらに一ヵ月を直しにかけました。
直す時に、表をつくることはあります。
書いてから分析して直しに活かします。
逆バコ、て呼んでます。

初稿はほとんどデッサンです。
しかしプロットではなく、シナリオ形式、小説形式で
しっかり細かく書き込みます。

無駄がいっぱい出る作業になりますので、
書くスピードが早く、書くこと自体が楽しくないと、このやり方は向かないかも。

まだわたしも書き方を模索中です。
「自分に合ったやり方」は自分で試すしかないので、
「書いて書いてちょっとずつ知る」のをくり返しています。

ということで、執筆スタイルは「やたら書いて試す」ですね。
ぜんぜん役に立たない答えでごめんなさいです。

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ぶんぶん的日常」カテゴリの記事

コメント

ビートたけしさんが、よく映画や人生を数学に例えてますけど、
今回のお話を読んで、それに通ずるものを感じました。

まったくの個人的見解なので、こんなこと書くのははずかしいのですが、
プロットとか箱書きって数学化なのかなーと思ったり。
いや、よくわかりませんが。


丁寧な、ご回答、本当にありがとうございました。

実は、私も、”箱書き”というものが、具体的にどういうものかつかんでいなくて、
だいたいのプロットを書いてから、シナリオを書いています。

シナリオを勉強している人のブログなどを読むと、やっぱり、箱をきちんとやらないと
だめだ、みたいなことを書かれているので、どういうもんか、わからないながら、
今までの執筆スタイルをやめて、箱を書かなきゃ、ダメなのかなあと、
自分なりの箱みたいなものを、書き始めたのですが、苦痛で、
挙句のはてに、シナリオを書くのが嫌になってしまいました。
そんな自分にはっぱをかけるために、プロに認められた大山さんは、
どんな風にしてシナリオを書き始めたのか、知りたくて、質問したしだいです。

末筆ながら、”通夜女”拝読しております。
お気に入りのシーンがあります。 小夜子と仕事をしない警官のやりとり。
小夜子「男の子を殺したのは母親とあんたたちじゃない!」
押し付けがましくない”正義”があると思いました。

1868さま
ビートじゅんこです。
たけしさん、そんなことをおっしゃってましたか。
シナリオ自体も、どこか数学的だと思います。
方程式をとくような感じとジェームス三木さんがおっしゃってたらしい。
記憶違いだったらごめんなさいだけど。
昔、論理学をちょっと勉強したんですが、数式ばっかでした!


Eikoさま
こちらこそ、考える機会を与えてくださって、ありがとうございます。
箱書きの真相がわかったら、またブログでとりあげてみますね。
苦痛なことはしないほうがいいですよ。
周防監督も「できないことは個性」と言ってました。
無理して嫌になっちゃうより、好きのチカラを信じたほうが
いいもの書けると思います。
わたしも迷ったり、心折れたりしつつ、書いてます。
「通夜女」読んでくださってありがとうございます。
あれも迷いつつ、懸命に、書きたい世界を書きました。

凄く勉強になりました。
先日『ロボジー』の矢口監督の講演を聞きましたが、矢口さんもハコガキとか書けない、とおっしゃっていました。
私も書けないので、ちょっとホッとしましたが、でも矢口さんや大山さんは天才ですから、また別格ですねhappy01

私もやっと舞台の台本を書かせて頂き、この1ヶ月半ほど、必死で書いておりました。
私は、凄く効率が悪いのですが、元になるシナリオが120枚になり、そこから企画書やプロットが出来、
そこから1時間ものシナリオが生まれました。
何度も何度もペンキを塗り直すように練り直して直しをする、という感覚、共感できます。
もっと勉強します。

直子さま
戯曲書かれたんですね。おめでとうございます。
わたしは舞台は未経験です。

矢口監督もなんですか。
わたしはまだ書き方を決めてないので
いつか途中の段階で試してみたいです。

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