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2012年3月12日 (月)

水のチカラ

『小説家を見つけたら』という映画に、
こんなくだりがあります。

過去のたった一作の小説で「大作家」となり、
以後一作も書かずに「大作家」であり続けた男(ショーン・コネリー)が
作家志望の若い青年にこう言います。

「初稿はハートで書き、推敲は頭でしろ」

Shosetuka__aa300_

わたしは誰に教わったわけでもなく、自然とそうしています。
というのも、初稿を頭で書けないんです。

目の前で実際に展開しているシーンを書き留めるのが初稿です。
キーボードの上の空間で、人物があーだこーだしゃべったり、
動いたりするんです。
それを書き留めて、そのすぐ後から理性がそれを修正します。

その繰り返しです。

そしてラストまで書いたら、再び直しも心と頭でやっていきます。
だんだん「頭」の割合が多くなります。

さらにその先に、急に不安がやってきます。

これは世に出すに足る作品か?

ここで悩みます。

わたしにはお金が必要です。
書くために、ライフラインを確保する程度のお金です。
正直、「お金持ち」になりたいと思ったことは一度もありません。
子どもの時から一度もです。

夫は「お金はあるだけあったほうがいい」と言います。
わたしにはピンときません。
お金に困ったり、ぎりぎりの苦労も経験しました。それでも
苦労が身に付かないというか、学ばないんです。

なんの話かというと、
書くことで生きて行く覚悟のわたしなのですが、
自分の中で

「これは世に出していい」

と思えなければ、それまでの努力が無になって、すべて流れても
しかたないと思うんです。
つまり、労働の対価がゼロでも、しかたない。

「甘い」と言われるかもしれませんが
創作に人生をかけているので、たとえ生活が苦しくなっても

「いいものしか世に出したくない」

と思っています。

その自分基準に、今書いているものが達しているか
ここ二日ほど悩んでいました。

『続三丁目の夕日』に、こんなセリフがあります。
鈴木オートさんに「書けたか?」と尋ねられた茶川さんは
満足げにうなずいたあと、言います。
「今までで一番の駄作を書いちまったような気もするけどな」

誠心誠意書いたあと、ふっとこういう気持ちになる。
リアルなセリフだなぁと思います。

さて葛藤の末、わたしは本日昼過ぎに

「足る」と思えました。

だいじょうぶ。自分のチカラを信じよう。
このままがんばろうと思えました。

そんな葛藤の中で創作しまくり、
いつのまにか洗濯物がたまってしまい、
さっきあわてて洗濯機を回したのですが、
しばらくして気付きました。

「洗剤入れてないかもしれない」

このまま干すに足る状態でしょうか?
洗濯し直すべきでしょうか?

葛藤。

足る。とします。

水のチカラを信じます。

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コメント

すごい事です.信念を持って仕事に取り組む姿は美しいと思う!
m9(^Д^)プギャーまた,またーー何か新しき作品が生まれるのだろう!

michiさま
ありがとうございます。
キャリアも教養も不足しているので、ガッツしかありません。
いろいろと悩みますが、がんばります。

  大丈夫二番列車も春の風  ハードエッジ


自作への願望も兼ねまして、、、(笑)


ハードエッジさま
さわやかで希望の見える句ですね。
ひらがなが二文字しかないのも、珍しくて新鮮です。

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