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2012年8月 1日 (水)

しおりのない遠足

毎日が遠足です。
猫弁山に登っています。

けわしい山です。
なんせ驚愕トリックの本格ミステリですからね(うそ)。
ときどき筆がぴたっと止まります(ほんと)。
見たことも触れたこともないものの描写には苦戦します。
豪邸の内装とか、新幹線のグリーン車、飛行機のファーストクラス。
どうなってるんだろ?
グリーン車って、みどりいろ?

昨日、夫に苦しい胸のうちをうちあけました。
「創作に不安があるよ」
すると夫は言いました。
「ふつーです」
そうか。普通なのか。

遠足に疲れると、本を読みます。
今呼んでいるのは『バスカヴィル家の犬』
コナン・ドイルのシャーロック・ホームズです。
NHKで『シャーッロック』を見た後に読むと
「あそこをこう変えたんだ」と楽しくてしかたありません。
新潮文庫で、訳者も亡くなった方だし、やや古い言葉が使われているのだけど
そこもまた面白い要素なんです。
時代を感じさせる文章なのに、古びない共通の精神が宿ってて
そこが名作の強さなのだと思います。

Holmes


下のは人からいただいた本です。少し前に読みました。
出版界のお話で、文芸編集者が主人公です。

Rain

小説を読むのが好きな方は、本がどう作られるのか
経緯がドラマチックに書かれていて興味深いと思います。
お仕事小説でもあり、青春小説でもあります。
主人公はエリートなんだけど、精神性が等身大だから感情移入しやすい。

わたしはこの本の冒頭で読むのをひるんでしまい
三日くらいおそろしくて近づけなかったのですが
ちゃんと向き合い、最後まで読み、感動しました。

良い話です。ホラーじゃないですよ。
ただし、作家が読むと、ひやっとする辛い現状を見せつけられます。
立派な作家はひやっとしないでしょうが、
わたしのようなぺいぺい作家はひやっとします。

作家であることは、怖く、寒く、心細い。
でも、遠足。
しおりのない遠足。

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ホン de ぶんぶん」カテゴリの記事

コメント

どうか険しい道中、、熱中症にはくれぐれも、お気をつけて・・・
作家がひるんでしまうというのは、どんな冒頭なのでしょうか・・・気になるので図書館に予約しました。『クローバー・レイン』
 一般読者としても小説の冒頭というのは、興味があるところです。たくさん小説が読めそうなとき、「おおっ、これは!」と思った冒頭の小説ばかり何冊かならべて、並行して読んでいくのも楽しいのです。(作家のみなさま、すみません。)車両基地に並んだ新幹線の先頭車両の顔を眺めながら、どれに乗ろうかなあと、迷っているみたいなかんじです。新幹線といえば、むかーし、グリーン車というのに乗せてもらったことがありました。別にみどりではありませんでしたが、車両の入り口あたりに四葉のクローバーがかいてあったような。
・・・なんの接ぎ穂もありませんが、本日、夫の勤め先の近くで、平日にもかかわらず花火大会があったので見物してきました。たぶん、これを見たからといって、何かの役に立ったりはしないのですが、次々と現れては消え去る大輪の花を眺めるのは、実に楽しかったです。「人はパンのみにて生くる者に非ず」ですね。

おのださま
予約されましたか。
きっと楽しめると思います。
ひょっとしたらおのださんはもう知ってることかもしれませんが
作家が原稿を書き、それを編集者が読み、本になるもの、ならないもの
その事情がよくわかります。
きっとこれがすべてではないのでしょうが、実情に近いのではと思います。
作家がひるむというか、正直なところ、わたし個人的な恐れかもしれません。
大山淳子はこういうことを恐れているのだと、読むとわかると思います。
平行して読む…というのは、わかるような気がします。
連ドラは初回だけ見て、そのうち一部だけを見続けるし。
平行して書くというのは、よくやりますし。
花火はいいですね。今年ひとつ、大きな花火のお誘いがあったのに
仕事で行けそうになく、かなり後悔。たしか今夜。かなり後悔。

待つこと2ヶ月半。やっと『クローバー・レイン』を読み終えました。
思っていたより、ずっと熱い物語でした。読んでよかったです。
「恐れ」というとネガティブな響きもありますが、原動力かもしれません。わたしは、創作はできませんが、似たような感情をどこかに持っているような気がします。
・・・それに並行して、もう1冊読んだのが、『青い鳥文庫ができるまで』 講談社
編集者、百瀬さん(女性でした)を軸に出版にかかわる人々の仕事を追いかけた
セミドキュメンタリーの児童書です。
3月の企画会議から12月の発売を目指して奮闘
・・・『雪猫』も、今、こんなかんじなのかな?と想像してしまいました。
 改めて、作家、大山淳子さんのいる世界に乾杯! です。

おのださま
読まれたんですね。クローバー・レイン。文章がなめらかでくせがなく
人間ドラマもあって、熱い話ですよね。
ちょっと怖いんですけどね。ひやりとします。
「青い鳥文庫…」は出版されたのは知ってるんですが読んでなくて。
やはり面白そうですよね。
『雪猫』は、担当編集者さんはじめ、関わるみなさんが熱い気持ちで作ってくれています。
『猫弁』もそうなんです。装幀もなにもかも、すごい熱意で作られていて
作家のわたしが「なかみしか書いてない…」って恐縮するくらいです。

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