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2013年2月17日 (日)

父と母

急にアクセス数が高くなったのですが…なにかあったのでしょうか?

 
先日、実家に顔を出し、『猫弁と指輪物語』を両親に渡しました。
両親は奪い合うように手にとりながら、
「3作目だ」「4作目よ」「違う」と言い争っています。
 
どちらも正解です。
猫弁シリーズ3作目。その間に『雪猫』を刊行したため
小説としては4作目です。
 
母が突然思いついたように言いました。
「サインしてくれないかしら」
 
わたしは親に渡す本にサインをしたことはありませんが、
しない理由も特にないので「いいよ」と、
持っていたペンで書き始めますと、
両親は身を乗り出して覗き込んでいます。
 
やがて母は叫びます。
「あ、間違った! この子ったら、わたしたちの名前を書いちゃってる!」
 
わたしは動じません。静かに説明します。
「先に相手の名前を書くものなの。ちゃんと書くから」
 
親の早とちりには半世紀つきあってますので、もうなんとも思いません。
親は息をするように間違え、寝起きするたびに間違え、常にわあわあ言ってます。
たまに正しいことも言うので、あなどれません。
 
書き終えて渡すと、父はじっと手にとり、腑に落ちないという顔をしています。
なんで腑に落ちないのかは、聞くまでわかりません。
とにかくうちの親は何を言い出すかわからないんです。
ついに父は言いました。

「猫の絵を描いたらどうか」

なるほど、わかりました。
わたしのサインは芸能人のようにアーティスティックはありません。
ココニナマエカキマシタ的サインです。
それが父にはもの足らないようです。
作家たるもの、読者に対して、サービス精神が必要だと言いたいのです。
 
「絵を描き足すといいと思うぞ、このへんにちょこっとな」
 
すると母は言います。「安っぽくなるから、だめよ」
父は言い返します。「いいや、猫の絵は必要だ」
「安っぽくなる」「絶対よくなる」「おだまりなさい」
 
また夫婦で言い争いを始めました。
言い争いに聞こえるのは、声が大きいからで、
声が大きいのは、耳が遠いからです。
 
わたしは反論も合意もしません。
割って入って主張したいことなど何ひとつありません。
両親が平和に生きているのを確認し、ほっとして、帰宅しました。
 
夫は「おかえりなさい」と言いました。
それ以上なにも言いません。
いつもたいへん静かです。
あ〜…この人が夫で良かった。

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ぶんぶん的日常」カテゴリの記事

コメント

今年のお正月から見させてもらってます。
なのでアクセス数があがったのは私のせいではありません。
しかし大変ご活用のご様子、当然の帰結と考えます。

えらそうにコメントしてますが、はじめまして、こんにちは。

お父さまのセリフのところで、思わず笑ってしまい、この感動を伝えたいと、思わずコメントしてしまいました。

ぶんぶんさんの作品もブログも何もかもが、私を楽しくさせてくれます。そしてみんなの椅子になっているから、アクセス数も上がるんだと思います。

まりもんさま
はじめまして。
あそびに来てくださってありがとうございます。
父のセリフ、笑っていただけたのなら、言われたわたしも救われます。
とにかくなんやかんやと…ヒトコト多くって。

わたしの作品がみなさんの椅子になれたら、本望です。
どうかこれからもここでひといきついていってくださいね!

春昼のごとく正しきことを言ふ  ハードエッジ


◎正しさなら春昼くらいが丁度いい?
って、どんな正しさ、、、(笑)

ハードエッジさま
春昼ってことば、いいですね。
つかめそうで、つかめない感じ。

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