« じんこ? | トップページ | 『猫弁と透明人間』再放送のお知らせ »

2013年9月24日 (火)

閉じることができたなら

吉田修一さんの小説『横道世之介』を読みました。

冒頭、主人公がわたしの住む街で住み始めたのでびっくりしました。
「ここ東京ですよね?」というくだりがあって「東京ですから」
とつぶやきつつ読みました。
 
読み始めるとやめられず、即日読了。
映画も見ましたが、かなり原作に忠実に映像化されていますね。
 
わたしは読書家ではありません。
人生で一番たくさん本を読んだのは、中学時代です。
部活もやってましたし、家は学校から遠いし、時間が限られます。
本は読み出すと途中でやめられず、歩きながら読み、
授業中は教科書で隠して読んだし、いつも睡眠不足でした。
 
教室でわたしの前の席の子が、わたしが読んでいる本を
「読みたい」と言うので、「どうぞ」と渡すと、
「休憩時間だけ貸して」と言うのです。
彼女は休憩時間に読み、始業ベルが鳴るとわたしに返し、
何日もかけて、一冊の本を読み終えました。
 
衝撃でした。
 
こんなふうに途中で本を閉じることができたら、
人生が計画通りにうまくゆく。
そんな気がして、彼女の背中がまぶしかったのを覚えています。

わたしの学生鞄にはいつも体操服とお弁当箱と本が入っていました。

教科書は学校へ置きっぱなし。
宿題もせず、漢字テストで赤点をとり、追試を受けました。
忘れ物も多くて、授業中に正座させられました。
 
両親はわたしの成績には興味がないようでした。
「本を読むと目が悪くなる」とそれだけはしつこく心配するので、
布団の中でこっそり懐中電灯で読みました。
部活帰りの夜、バス停の光で読んでいると
知らない人に「目が悪くなるからやめなさい」と注意されました。
読みながら歩いて、電信柱にぶつかったこともありました。
 
本について誰かと語り合うことはなく、読書は個人的な時間でした。
わたしと作家だけの世界。
小説、論文、漫画、さまざまな本を読みました。
 
江藤淳さんの論文が好きでした。
中学生のわたしには保守的思想には感じられず、
新しいものの見方を上品な文章で教えてくれる強い大人に見えました。
自殺の報を知った時は、ショックでしたし、
知性は人生を克服できないのかしらと落胆しました。
 
中学時代に読んだ本は、今も何冊か持っていますが、カバーがありません。
買うとすぐにカバーをはずして捨てていました…。
今思えばなんてことを! 
 

« じんこ? | トップページ | 『猫弁と透明人間』再放送のお知らせ »

ぶんぶん的日常」カテゴリの記事

コメント

うわぁ、『横道世之介』今日読み始めたところです!!
(世之介くんは息子と同学年なので、ところどころ、
リアルな親近感がわいて、高速で読み進められません。)
そのうえ、今日、図書館の棚でたまたま見つけた『赤毛のアン』シリーズ7冊を
衝動的に借りてしまいました。(あっ、JUNKOさん的だ・・・と思い、ついつい)
何冊、閉じなければならないのでしょう・・・
ちなみに、わが両親は「役に立たない本なんか読まずに勉強しろ!!」
という人たちでありました。
わたしの子ども時代、田舎じゃわりと普通にいた大人のタイプです。
たのしく親子読書なんて聞くと、隔世の感が・・・

すみません、上の名無し投稿、おのだでした。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/562780/58251578

この記事へのトラックバック一覧です: 閉じることができたなら:

« じんこ? | トップページ | 『猫弁と透明人間』再放送のお知らせ »