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2013年11月19日 (火)

非トロイメライ

今年の夏が終わった頃のことです。
猫が犬かきしているような気分で、がんばっても前へ進めない、
扉を開くと、また扉。
うつうつとする中、ふと「買おう」と思ったんです。
 
創作で達成感が得られないので、
お金で達成感を得ようと思ったんです。
前から欲しかったものがあります。
オルゴールです。
 
5月に刊行した『あずかりやさん』に出てくるオルゴールは
アンティークの高額なオルゴールで、トロイメライを奏でます。
わたしが求めているのは「普通の値段のトロイメライ」です。
「トロイメライでさえあれば」という気持ちで、
自由が丘にあるオルゴール専門店へ行きました。
自由が丘って聞いたことがありますが、行くのは初めてです。
 

わたしがものを買うことに意気込むのは珍しいことです。

迷うことも予想されたので、夫や娘夫婦も付き添ってくれました。
 
さて、オルゴールは機械と箱でできています。
機械の「弁」の数、箱の材質や大きさ、置く場所により
音色が違ってくるのです。
と、わかったようなことを書きましたが、
ゴッドマザーのような店主が丁寧に教えてくれました。
 
「トロイメライ」もさまざまです。
弁が多いと美しくてなめらかな音色なのですが
あまりになめらかすぎると、オルゴールらしくありません。
 
オルゴールは機械仕掛けの楽器です。
でも、楽器とおもちゃの中間くらいが、わたしが持つのに
ふさわしい気がするのです。
 
箱もいろいろあって、案の定、迷いました。
音色が気に入ったけど箱がイマイチ、
箱はいいけど、音色がイマイチと、
迷いに迷って「もうやーめた」とお店を出ようとした瞬間、
ひとつのオルゴールに吸い寄せられました。
 
見たとたん、「呼ばれた」と感じました。
音色もわたしの心にぴったりです。
ただ、「トロイメライ」ではない。
致命傷です。
 
娘は「トロイメライは小説の中にそっとしまっておけばいい」と言います。
夫は「最近沈んでる淳子さんには、こちらの曲のほうがいいと思う」と言います。
 
半額セール品だったのも、決意を後押し。思い切って買いました。
お店の人に「これ、アンティークですか」と尋ねると
「アンティークはこのような値段で買えません」と一笑にふされました。
 
Orgel
 
32弁。『花のワルツ』は楽天的です。

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コメント

致命傷ではなく、運命の出会い?
恋ってのが、そんなものではなかったでしょうか。(もうかなり、忘れています)
クリスマスも近いし「花のワルツ」がちょうどいいですね。

ゴールがあるかもわからないコースの中間走者に徹することに決めたわたしには、
「達成感」という言葉は、肯定的な意味で、とても眩しいです。

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